行雲流水
2012年12月3日(月)22:29
「資本の論理」(行雲流水)
経済活動は個人の利益追求に任せておけば「神の見えざる手」で社会全体の利益が達成できる、とアダム・スミスは考えた。しかし、「神の見えざる手」は破綻、今日、資本の論理に従って、富は富の有る方に流れていき、世界中で格差が広がっている
▼国連大学によると、現在、最も豊かな2%の人々が全世界の富の半分以上を所有している。米国のウオール街では「上位1%の富裕層ではなく99%の人々のための政策を」と訴えるデモが発生、あっという間に世界の82カ国に広がった
▼社会における所得分配の不平等さを測る指標であるジニ係数は、北欧が低く、日本は米国や中国ほどではないが、毎年上昇している。日本は社会を不安定化させるとする数値に近いし、中国は慢性的暴動の危険がある数値を超えている
▼ここで適切な「富の再配分」が国の果たすべき大きな役割となる。その仕組みが重要で、所得税などの累進課税や社会保障の充実、地方交付税措置等がこれに当たる。消費税増税や株式売買にかかる税金の軽減等はその方向が逆である
▼洋の東西を問わず、政治は資本を持てる側に傾斜する傾向にあり、グローバル化に伴う競争激化もあって、富の再配分はなかなか進まない。しかし、米国の大統領戦では、富裕層への増税や医療保険等の社会保障の充実を主張するオバマが勝利、フランスでは付加価値税の引き上げや原発推進を主張するサルコジを破ってオランドが当選した
▼さて、日本はこれからどのような国へと向かうのだろうか。