今年、伊良部で開催されたカツオフォーラムで「付加価値をつければ、１㌘１円のものを１㌘10円まで高めることができる」との話があった。カツオは、刺し身・なまり節・かつお節・削り節と加工度が高まるにつれて、値段が高くなる

▼付加価値とは、販売価格から原材料費を差し引いたもの。つまり、人手がかかった部分－加工の仕方、味、使い勝手、見栄えやデザインなど人間の知恵が加わった部分の価値だ

▼芋ペースト、マンゴーピューレなど加工品の例は分かりやすいが、ホテル、タクシー、サービス業などにおける付加価値とは何だろうか。「サービスの質」の高さであろうが、ひと口にサービスと言ってもその内容は多種多様だ

▼今年後半のＮＨＫ朝ドラ「純と愛」では、大都会の大手ホテルに就職した主人公が悪戦苦闘する姿が描かれていた。宮古島出身の社会人１年生〝純〟の発想と大組織を運営する側の手法がかみ合わず、トラブルの連続だった

▼今年の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館１００選」で総合１位になった石川県の旅館「加賀屋」の小田会長は、サービスの本質は「要求されたことをきちんと達成する正確性」だと言う。それは「歓待の精神と思いやりの心」から生まれるとも。人材育成については「自分の段取りを優先することや言い訳をすることはタブー。お客さんに絶対ノーと言わず、満足させるまで努力する教育」が重要だと述べている

▼富の源泉である付加価値は、感性と知恵の豊かさの反映であると言えるのかもしれない。