行雲流水
2012年12月19日(水)23:10
「大晦日」(行雲流水)
12月もいよいよ残りわずかになった。古来12月は「師走」とも呼ばれるが一年の締めくくりの月として世事のすべてをなし終える「し果つる月」が転じて→しはつる→しはす(しわす)になったという
▼さらには年の瀬には坊さん(僧)をよんでお経をあげてもらうから12月は僧が忙しく走り回る〝師走る〟となりそれがやがて月名の「師走」になったと
▼ところで師走の末日は「大晦日」と言う。晦日はもともと月末「三十日」のことで12月31日は一年の締めくくりの特別の晦日ゆえ大晦日と名づけている
▼日本では大晦日になると家族そろって「年越しそば」を食べる習わしがある。その昔なぜ「そば」なのかと幼児らに聞かれ返答に窮したことがある。識者は教えてくれた。「正月が側(そば)にきたというしゃれと寿命が〝そば〟のように長くありたいという願いが由来」だと
▼大晦日NHKは紅白歌合戦を終えると全国各地の寺院から除夜の鐘のおごそかな響きを実況放送する。除夜の鐘はご承知のように午前0時をはさんで一〇八回つかれる
▼仏教の教えによると人間の「六根」(目・耳・鼻・舌・身・意)の対象界「六塵」(色・声・香・味・触・法)は好・悪・平によって18種類の煩悩に増加しそれぞれの煩悩に楽受と苦受の二つが重なって36種の煩悩が生じる
▼さらにこれらの煩悩は過去・現在・未来に及ぶから人間は一〇八の煩悩を背負うことになると。一〇八回響く除夜の鐘は私たち人間の「百八煩悩」を一つ一つ取り除いてくれているのである。