地域から学ぼう/伊良部中学校
地域のためにできること
伊良部中学校(平良善信校長、生徒数74人)は、2012年のテーマを「環境」と捉え、1年生が「地域を知ろう」、2年生が「地域から学ぼう」、3年生が「地域のためにできること」をサブテーマに活動している。昨年暮れ、学習発表会があり、パソコン(PC)を活用してプレゼンテーションした。中でも1年生が取り組んだ「地域を知ろう」では、伊良部地区地域づくり連絡協議会(比嘉巨雄会長)の案内で島を巡り、生活用水の垂れ流しや不法投棄の現状などをつぶさに視察、島の環境を守る今後の大きなテーマとして動き出した。
昨年9月、県地域環境センターの職員を招き「海水を科学する」をテーマに出前講座を行った。その中では海水を使った豆腐作りなどにも挑戦した。また、市エコアイランド推進課の職員に「宮古島の取り組み」などを聞き、10月からはサシバ保護集会や「海の環境保全の取り組み」(美ら海連絡協議会)などの講話会を設け、現状を認識した。中旬からは島の環境巡りで「水の行方・不法投棄の現状」などを視察、実際に動き出した。
長山南地区には7つの市指定史跡のアブ(洞窟)がある。アブガー(№1、№2)、ウスバリアブ、ヌドクビアブ、カナマラアブなど、島の歴史や形成を知る上で貴重なアブが存在する。現在それらは雑木に覆われ、不法投棄の場所となっている。この現状を憂えた比嘉会長は、島の人たちに訴えるも、大人たちのこれまでの慣習はなかなか改善されず、子どもたちに現状を見てもらうことにした。 ここで、子どもたちの感想を紹介する。
①県内の不法投棄の85%が宮古島と知りショック。それも宮古の中で伊良部が2番目に多いと聞いてダブルショック。アブを見に行ったがほとんどの所が「臭い」「ゴミが捨てられている」というイメージ。このままだと伊良部はごみの島になってしまう。
②校外授業で島に多くの文化財があることを改めて確認した。その史跡にごみを捨てる大人がいることも分かった。ぼくたちがごみのない島にしないといけないと思った。
③貴重な史跡のアブの中にごみが捨てられていることを知り、悪い大人たちがいることが分かった。テレビや車を平気で不法投棄する大人たちの気持ちが知りたい。
④大事な史跡の中にごみがあることにびっくりした。特にウスバリアブは汚すぎて入口さえわからなかった。捨てられていたのは、段ボールや空き缶、瓶など色々だった。それに、これらを撤去するのに莫大なお金がかかるということも分かった。
水や自然と対話する暮らし方
2年生の上里珠里さんは1年次に学習した内容を振り返り問題点の確認で「水のゆくえ」をテーマにした。①生活排水が海に流されている②排水溝はごみが散乱して水は濁り悪臭が漂っていた③10年後も20年後も島の自然を誇りに思っていたい。そのためにできることは〈月に1回環境デーを設ける〉とし、快適な暮らしばかりを考えるのではなく、自然と共生できる生き方が求められているとまとめた。
総合学習の時間が週2時間、年間70時間ある。その中で島の環境を捉えて学年ごとに取り組んでいる。わかったことは、不法投棄のことや、生活用水の流入でマングローブ林の生き物たちの状況、下水道整備の遅れなど。3年生は、地域への発信で、立て看板や防災無線を利用した放送などで周知を図っている。