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行雲流水
2013年2月13日(水)23:21

「ネフスキーの命日」(行雲流水)

 2月14日は、ローマ皇帝に迫害された殉教者バレンタインを偲ぶ祭日だ。また、スターリンの粛清に遭って処刑されたネフスキーの〝命日〟でもある(旧ソ連当局の公式見解。後述)。ネフスキーは没後に名誉回復、レーニン賞授与と数奇な運命をたどった天才言語学者


▼宮古方言研究の先駆者でもあった。宮古島へは1922(大正11)年夏に初来島。伊良部で「イスンミ ヌ アコウギー」の歌を聞いて速記、復誦した発音は完璧だったという。宮古方言でよく使われる中舌母音など近代日本語にはない発音をも縦横に操ったという

▼その後、古代日本の言語は宮古島に残っているとして、膨大な研究ノートを残した。日本各地に残る若水伝説の原点は宮古方言のスディ水(脱皮水)にある、虹の語源はティンバウ(天の蛇)に由来する、などの説だ

▼1976年、国立民俗博物館教授を勤めた加藤九祚はネフスキーの伝記『天の蛇』を書いた。この本では、ネフスキーの没年をソ連当局が公表した1945年2月14日としている

▼一方、ネフスキーの一人娘エレナはソ連崩壊時の1991年に父の死の真相を追及。実際の処刑日は1937年11月24日だったことを突き止めている。エレナの手記は2011年復刻の『完本・天の蛇』に増補され、世間一般にも知られるようになった

▼地元宮古島ではネフスキーの遺稿発掘、顕彰碑の建立などが行われ、まぼろしの〝名誉市民〟になっている。将来は、祭日が設定されてもおかしくないのでは。

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