社会参加で健康生きがい作りに
自主・自立、共働・共助の理念で/公益社団法人 宮古島市シルバー人材センター
「高齢者は、その希望と能力に応じ適当な仕事を与えられるべきだ」との言葉をシルバー人材センターを提唱した経済学者で元東京大学総長の大河内一男(1905-1984)は残している。文明の発展と共に急速な高齢者社会が進んだ。高齢期を有意義にしかも健康に過ごすため、何らかの形で働き続けたいと希望する高齢者が増えた。こうした社会背景があり1975年「高齢者事業団」は設立された。80年には「シルバー人材センター」に統一され、受注内容も多様化、社会の一隅を照らす大事な役割を担ってきた。
「自主・自立、共働・共助」を理念に、「一般雇用にはなじまないが、高齢者がその経験と能力を生かし、働くことを通じて社会に貢献、生きがいを得ていく機会を確保する」ことを目的に全国、各自治体での取り組みが広まっている。宮古島市シルバー人材センター(棚原恵照理事長)は、1992年社団法人平良市シルバー人材センターとして設立された。昨年、20周年を迎え、これまでの社団法人が公益社団法人となった。棚原理事長を中心に5人の職員で社会的な信用を得る組織として新たな出発を始めた。現在会員は224人、理事11人。
〈事業の仕組み〉
センターは、発注者となる官公庁、企業、個人から高齢者にふさわしい仕事を引き受け、会員に斡旋する。就業には請負契約と委任契約があり、センターはその契約内容に従って仕事を完成させる。入会の際、登録された経験や希望、また会員の都合を聞いた上で仕事をお願いする。仕事上の責任はセンターが負い、仕事の相談、受注、契約から集金、会員への配分金の支払いまで、センターが窓口となって行う。
〈仕事の内容〉
23年度の受注件数は995件、会員数は201人だった。主な仕事の内容は、道路や公園の清掃、見回り、駐車場の車両誘導など。最近では、空き家の管理や墓地の清掃などが増えた。棚原理事長は「時代の流れで、仏壇を置いたままの空き家や、引っ越しなどで取り残された墓地が増えた。ジュウルクニツや盆にしか帰れない人たちがいて、われわれの仕事は今や、先祖供養や困った人たちの見回りにまで幅を広げている」と話す。
〈普及啓発活動の推進〉
地域社会の理解と支援を高めるため、会員・役職員が一丸となって普及啓発活動に取り組んでいる。街頭キャンペーンでは、就業機会の開拓や会員拡大に向け市街地の主なところでチラシ配布や苗木の無料提供を行っている。10月はシルバー普及啓発月間となり、毎年、会員・役職員が参加して「豊旗の塔」周辺、カママ嶺公園などの清掃を実施し、ボランティア活動にも取り組む。
〈互助会による交流活動〉
お互いの親睦を深めるために、毎年1回新年会、忘年会、全島バスツアー、グラウンドゴルフ大会などが行われる。この他、会員の趣味のクラブがあり、グラウンドゴルフ、三線、カラオケ、舞踊、料理などの活動で交流を深めている。棚原理事長は「この場を生かして仲間作り、健康増進を図り、有意義な人生を送ってほしい」と、入会を呼び掛ける。