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行雲流水
2013年5月16日(木)9:00

【行雲流水】(TPP)

 安倍首相の環太平洋連携協定(TPP)交渉への正式参加表明によって農水産業を生業とする国民(県民)は先々の展望が見通せない不安や焦燥感に陥りつつある。確かに政府は農業分野で砂糖や米・牛・豚肉・乳製品の重要5品目の関税は維持すると強調する

 


▼関税を撤廃すると安い外国産が押し寄せる。政府試算では農林水産物の国内生産額の4割超3兆円が失われ米の生産は3分の2に減る。砂糖はすべて外国産に置きかわると指摘されている


▼それゆえか日本の国益のため重要品目の関税はしっかり守らなければならないと首相や関係閣僚は口をそろえる。が、4月12日のTPP日米事前協議において政府は米国の国益優先にそった大きな譲歩を余儀なくされている


▼米国が日本車に課している現行関税は当面維持。関税を引き下げるにしても長期間で段階的に行う。さらに関税の撤廃時期は最大限に遅らせるなど米国主張を全面的に容認し譲歩したのである


▼「米国が強く出ると腰くだけになるわが国の対米外交」と識者から苦言を受けるゆえんである。「これでほんとうに日本の農業は守れるのか」「重要5品目の関税維持うんぬんは来る参議院選挙を見据えたパフォーマンスではないか」と関係農家も怒りを隠さない


▼そして昨今は「日台漁業協定」である。政府は台湾主張の〝暫定執法線〟よりさらに宮古石垣海域にはみ出した漁場水域での台湾漁船の操業を認め協定は去る2日発効した。仲井真知事や県内漁業者の猛反発に対し水産庁は「後ろ(官邸)からの強い意向」と答えている。(知)

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