行雲流水
2013年5月22日(水)21:51
「宮古観光の課題」(行雲流水)
「観光客を経済振興につなげる仕組みが弱い」。宮古の観光産業について分析した専門家(山田雄一日本交通公社観光調査部次長)の指摘だ
▼昨年度のアンケート調査によると、宮古を訪れた観光客は自然、アウトドア活動、食べ物に関心が高い。宮古の自然景観は良く、掛けた費用・時間以上の満足感を得ていることなどが分かった
▼しかし、入域観光客1人当たりの消費額は4万5000円と低く(沖縄県平均6万7000円)、推計消費総額は185億円止まりだった。1人当たり消費額が5万円なら200億円産業になっていたであろう。山田氏は「地元の努力次第で顧客単価は上げられる」と指摘
▼サービスの質が悪いと顧客単価は上げられない。「事業者サービスの付加価値創造が急務だ」と提言。具体的には、宿泊施設や食事の質の向上、従業員の接客態度の改善、土産品の種類や内容・デザインの開発などを挙げている
▼観光協会はテーマごとに委員会を立ち上げるなど、課題克服に向けて組織的に取り組んでほしい。また、市民全体で問題意識を共有することも必要だ。たとえば、接客態度は「言葉」や「もてなしの心」に由来する。従業員に対する講習会だけでは十分でないかもしれない。学校における基礎教育(丁寧語や謙譲語の使い方)、家庭や社会生活における習慣も無縁ではない
▼土産品を開発する主体は事業者だが、商工会議所・銀行・役所が国・県施策の活用方法に精通し、支援することが促進剤となるであろう。観光産業を支える裾野は意外に広い。(柳)