行雲流水
2013年8月10日(土)9:00
「旱魃(かんばつ)」(行雲流水)
旱魃。長期にわたって雨が降らず水不足になることだが、学問領域によってその表現は異なるようだ
▼農作物に悪影響を及ぼすような降雨量の不足、今の宮古島の状態は農業的旱魃ということだし、平年より貯水 量が少なくまとまった雨が期待できない関東一円の水源となっている利根川水系の水不足は水文的旱魃というこ とになろうかと思うが、いずれにしても雨が降らないことで水が不足することに違いはない
▼雨が降らない原因は、魃(ばつ)にあると古代中国の話にある。黄帝の娘、●(ばつ)(●は女へんに犮)は 美しい姫君であったがその体は熱く雨を止めて害をもたらし、人々を苦しめるほどであった。人々を苦しめる悪 いものを鬼という。美しかった●(ばつ)は魃(ばつ)になり今なお人々を苦しめる。宮古島のクイチャーは魃を追い返す踊りとみるのが適っているようだ
▼しかし、クイチャーの効果なく魃が居座り続けると宮古島の地下ダムの水も減る一方だ。農業用水としての地下ダムだが蓄えられた水の量には限りがある。用水を管理する県や土地改良区がほ場への散水に気をもむのはもっともなことだ
▼干ばつによる被害は、農作物だけにとどまるものではない。暮らしそのものが脅かされることは言うまでもないことだ。極端な場合は飢饉、疫病などの社会不安の要因にもなりかねない
▼保水力の高い石灰岩でできている宮古島であっても雨が降らなければ渇水状態になる。まとまった降雨が期待できない今のような状況が続くとなると農業用水だけでなく生活用水の制限もあるだろう。地下水は無尽蔵ではないのである。(凡)