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行雲流水
2013年9月3日(火)9:00

「シリア内線」(行雲流水)

 シリアに対する雲行きが不気味である。事実上の内戦で、すでに10万人が犠牲になり、数百万人が難民化している(国連発表)。それに外国の軍事攻撃が加わると悲劇はさらに深刻化するのは明らかである


▼シリアといえば、本県から神元正勝氏が国際協力機構(JICA)より派遣された国である。彼は2009年から2年間、シリアのホムス工業専門学校に配属されて化学教育に携わった。その間、見聞を広げ、シリアの歴史や文化、日常生活の様子などを詳しくレポートに記録している

▼それによると、古来、シリアはユーフラテス川の恵みによる農産物の生産や交易で栄えた。キリスト教とイスラム教が当たり前のように共存している。大きなレストランで待ち時間が長くなると、数人の男女が手をつないで輪になり、流れる曲に合わせて踊りだす

▼このように、平和なときは、人々は大らかで善良、互いに助け合い、生活をエンジョイしてきた。しかし、どこでもそうであるが、戦乱の世になると、憎しみや猜疑心が先鋭化して、人心や社会は荒廃してしまう

▼紛争は当事者の利害の対立に原因があるが、今日、他国が自国の国益のために、正義の名のもとに価値観を一方的に押しつけたり、武力を行使して紛争を泥沼化させるケースが多い

▼シリア内戦に対して、国連事務総長は「軍事的解決法は存在しない」と語り、ローマ法王は「対話によってのみ解決が可能」との見解を明らかにした。世界はシリアの問題を平和裏に解決できるだろうか。行方を注視したい。(空)

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