行雲流水
2013年9月19日(木)9:00
「9月」(行雲流水)
9月の異名(旧暦名)には菊開月・菊咲き月・紅葉月・菊月などいろいろあるが一般的には「長月」が定着している。語源は夜が長い月を意味する〝夜長月〟の夜が抜けて「長月」に転じたと言う
▼9月は季節の移り変わりのめやす〝季節点〟にあたり古来台風が多発し農作物に大きな被害を与えてきたからか「台風の月」とも言われている
▼去る13日小笠原諸島近海で熱帯低気圧から大型の台風に変わり16日愛知県に上陸して山梨県や福島県等を通過し三陸沖へと抜けた台風第18号「マンニィ」も各地に甚大な被害をもたらした
▼メディアによると記録的豪雨による川の氾濫や土砂流出などに対する避難指示や勧告は近畿2府4県だけでも50万世帯約120万人に出されている。その後の各地の被害状況はテレビ映像によって生々しく伝えられた
▼埼玉県・群馬県・栃木県・三重県で突風によって一瞬にして家屋を全壊され悲嘆にくれる住民の姿には言葉を失った。巨大台風を幾度となく体験しそのとき味わった苦渋の心情がよみがえってきたからである
▼物の本をひもとくと昭和29(1954)年9月26日には北海道では珍しいといわれる台風に函館発青森行きの連絡船洞爺丸が襲われて出港後間もなく沈没。海岸から目前ながら荒れ狂う波にのまれて多くの溺死者を出した惨事も起きている
▼大正12(1923)年9月1日には関東大震災も起きた。東京・横浜の繁華街は火事で火の海となり死者数十万人。焼失家屋は全市の3分の2にも及んだ。専門家は言う「過去の被災を直視することは災害予防の大きな礎になる」と。(知)