行雲流水
2014年1月9日(木)8:55
「アベノミクス」(行雲流水)
去年の正月明けは、安倍新内閣が矢継ぎ早に打ち出すデフレ脱却策を半信半疑で見ていた。1年過ぎてみると、円高は是正され、株価は回復、物価も下げ止まり、〝結果オーライ〟のようだ
▼だが、光が当たれば影も生じる。円安は株価を押し上げ、年金基金の運用益(5兆円)も出た。反面、輸入品の価格は上昇した。身近なテーマに引き写すと、年金受給額の減額不安はやや遠のいたが、小麦粉や電気代が高くなった
▼こちらを立てればあちらが立たず、「トレードオフ」の関係が生じるのは経済の常。「合成の誤謬」に陥らないように、トータルでプラスに向かう舵取りが肝要だが、経済は生きもの。為政者のもくろみどおりいくとは限らないから厄介だ
▼沖縄の景況も今のところ順調だ。観光と建設業が堅調で、失業率も4%台に収まっている。しかし、4月以降は消費税増税に伴う観光客数減が予想される。かけこみ需要でふくらんだ住宅着工や消費意欲の退潮もあるだろう。試練の時が来る
▼政治エリートたち(国会議員、中央官僚)にまかせっきりにするのではなく、自ら挑戦する意欲が必要だ。例えば、観光では外国人観光客や国内の企業・団体等研修会の誘致を考えるなど、産業ごとに新しい分野を開発するテーマは多い
▼新たな挑戦はリスクを伴うが、リスク回避のための努力が知恵を生む。外部専門家の知見を活用する方法もあろう。経済団体等による技術力向上のための専門家招聘制度もある。ピンチをチャンスと捉えなおすことができるかどうか注目したい。