行雲流水
2014年1月11日(土)9:00
「表情」(行雲流水)
表情。心の働き方によって無意識に出てくる抑えがたい人間の顔の変化や動作をさす言葉である。ひとりの人がその時々の情緒の変化で別人のように見えることは日常経験することだ
▼暮れの28日、沖縄の新聞に掲載された仲井真知事の表情は県民に向けた表情ではなく特定の人物に向けられたものである。新聞の狙いは県知事の別人に見える表情を載せることにあった、と思われる。激しい不快感に行き当たった知事の瞬間的な表情を切り取った嫌悪感もあらわな写真と言えるだろう
▼県知事のあの表情は某記者とのやり取りの際のものだと思える。少し長くなるが昨年12月28日の産経新聞デジタル版を引用する。「仲井真さんは、日本国民としての日本語能力を、常識的な日本語能力をお持ちの方だと思うからお聞きする」で始まるやり取りだ
▼普天間基地の危険性を除去するには現実として辺野古に移転するしかないと判断したことを問うのに、日本語能力を繰り返し問われたのでは侮蔑されたと思うし、怒りを覚えて当たり前だ。某記者の思惑もそこにあったのだろうが
▼知事は、彼にこう反論している「今のはご質問ですか。私に対する批判ですか。何を言いたいんですか」と。あの写真はこの場面ではないのか。基地の県外移設キャンペーンが政治の世界ではほとんど意味をなさなかったのはメディアにとって許しがたいことだろう
▼かといって、知事の日本語能力と基地移設とは無関係だ。今後は、実際に辺野古の海の埋め立てを阻止「できるか」「できないか」に普天間基地の行方がかかっている。