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行雲流水
2014年1月25日(土)8:55

「農作物」(行雲流水)

 宮古島の農家は1960年ごろまで自給自足であった。芋を主食とし大豆や麦で豆腐やみそを造り、鶏、山羊、豚などの家畜を養ってそれなりの暮らしが成り立っていたのである。サトウキビは大きな換金作物であり、農家は共同のシートー屋(小規模製糖工場)で黒砂糖を作り大和に売って現金収入とした

▼農家が畑を守り作物を育て島の経済を支えているのは今も変わらない筈だが、農作物に対する人々の意識は変わった。自給自足する必要が無くなったからだと思える

▼昔、作物を育てるのは日々の糧を得ることであったが、今の世は作物を現金に換えて暮らしを立てる。芋に頼らず大豆や麦も作らず鶏を飼わなくて済むようになったのである。畑を覆うのは島の稼ぎ頭となったサトウキビだ

▼そのサトウキビが大変なことになっている。暮れから年明けにかけてサトウキビ畑が立て続けに8カ所も焼けているのである。延べ面積にして約2万3800平方㍍という、ほぼ24反の畑が焼けたことになる

▼農家は台風、旱ばつといった自然災害にさいなまれてきた。特に日照りが長引き雨の降らない旱ばつとなると畑は焼石のようになり作物は枯れる。農家はどうすることもできなかった。そのつらさは暮らしの糧であれ、換金目的であれ作物を育てた者でなければ理解できない

▼昨夏の日照りに昼夜を問わず散水して育てたサトウキビが収穫を目の前にして焼けてしまったのでは悲しくもありやり場のない怒りともなる。手塩にかけて育てた労が報われることなく後の始末だけが残されただけだ。農家の悔しさは思い余るものがあるだろう。

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