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2014年1月26日(日)8:55

糸満 旦男さん(66歳)/野原流三線教室主宰

宮古民謡の普及に情熱


糸満 旦男さん(66歳)

糸満 旦男さん(66歳)

 床の間には「年の寄ててやり徒に居るな 一事どもすれば為となゆる」の琉歌が条幅にしたためてあり、元旦の書き初めだという。毎年、年の初めには、自らの書で気持ちを奮い立たせてきた。ただ、徒に年を重ねるのではなく、何か一つ極めたら自分のためだ、という意味らしい。芸能歴38年、教職の傍ら琉球民謡、宮古民謡に親しんできた。

 長年、沖縄本島で暮らす。定年退職を機に古里へ帰ろうという夢を一昨年12月に果たし、翌年から島でただ一軒の三線教室を開設した。今では、16人の生徒を抱え、毎日休み無く指導に明け暮れる。「退職してもやることがあるのは、ありがたい」と、教室は今では生きがいに。「先輩たちが培ってきた宮古民謡を一人でも多くの人に伝えていきたい。そして、いつまでも歌い継いでいってほしい」

 民謡の他に、池間島の古謡にも関心を示し、舟漕ぎ歌の「中屋津ヌカニク」や「可愛者小」「浜崎ヌカギハマ」など7曲を採譜してあり、これからも機会を見つけ掘り起こしに力を入れていきたいと真摯。「先輩の話によると、池間の古謡は150曲を下らないという。現在の民謡の元歌になっているのも多く、昔の習俗や言葉、暮らしなど、学ぶことがたくさんある」

 5年前退職を記念して、師匠の野原輝一氏と池間総合センターで古里公演を行った。掲げた趣旨は、退職を機に芸道33年を振り返り、古里の皆さんの批評をいただき今後の修行に生かす、そして古里の皆さんとの交流の場にしたいというものだった。「何より嬉しかったのは、地元の皆さんが協力してくれたこと。やはり、古里へ帰ろうという思いが強くなった」

 これまで、在沖宮古民謡協会で活動してきた。1998年から2年間第9代目の会長も務めた。最後の仕事は、創立40周年の記念誌編集委員長の大役だった。「宮古の伝統芸能の継承発展に心魂を傾けた古里の先人たちの労苦に思いを馳せた。今後、後世への学習資料となることを祈念したい」。今年は10月の発表会の前に、第2弾のCDを出す予定と、意気込みを語る。

 糸満 旦男(いとまん・あさお)1947年8月5日生まれ。宮古高校、琉球大学教育学部卒。百名小学校を皮切りに潮平小(校長)を最後に38年間教職に携わる。81年、島尻満・野原輝一に師事、在沖宮古民謡協会入会。86年、在沖宮古民謡協会「最高賞」受賞、88年、琉球民謡協会「最高賞」受賞。94年、在沖宮古民謡協会「師範免状」取得。2013年、池間島に「野原流三線教室」開設。妻忠子さんとの間に2女。

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