12/22
2024
Sun
旧暦:11月21日 先勝 己 冬至
花は島色
2014年2月9日(日)8:55

久貝 清次さん(77歳)/画家・詩人

宮古の八景を描きたい


久貝 清次さん

久貝 清次さん

 【那覇支社】宮古島市鏡原出身で画家・詩人の久貝清次さん(77)。「次は宮古の八景を描きたい。ぜひやりたい」。先月21日から那覇市民ギャラリーで催した「琉球八景」久貝清次展を2日に終えて、次の絵の構想を語った。平和への祈りをテーマにした浦添市美術館や沖縄平和祈念堂での個展以来、13年ぶりの那覇での開催。

 葛飾北斎「琉球八景」の現代版を3年かけ再現し完成させた集大成。個展の副題は「徐葆光ー周煌ー葛飾北斎を訪ねて」。18世紀に中国の冊封使の徐が琉球を訪ねて八景を漢詩にし、36年後に来琉した周が詩をイメージして絵画化。180年前の江戸時代に北斎がその絵に似せて「琉球八景」を作成した。

 北斎の絵に刺激された久貝さん。「私も琉球人として興味が湧き、描かれた場所はどこなのか大分時間をかけて探し歩いた」と言う。

 2010年から制作に取り掛かり、北斎が描いた那覇の波之上や三重城、美栄橋などの八つの風景を現代風に再現した。北斎が描いた風景の面影を残す作品もあるが、昔とすっかり移り変わった街並みも描かれている。なかには制作完成後に出現したおもろまちの高層建物や那覇市の新庁舎などを新たに描き加えた作品も。「風景は急激に変化するが、そこには木があったり石があったり、御嶽が残っていたりする。本当に琉球は素晴らしい」と感慨深く話す。

 8作品ともアクリル画で、キャンパスは81・5×115・7㎝の大型サイズ。各作品には、絵の制作前に八景を描き季刊詩誌「あすら」に発表した詩が一対で展示された。

 久貝さんは「宮古は私を生んで育ててくれた母ちゃんみたいなもの。具体的な段取りは今のところ考えていないが、宮古八景のイメージは胸の中で温めている」として、「宮古には東平安崎や砂山ビーチ、与那覇前浜、伊良部の通り池などがあり、風景の厳選には悩みそうだ」と意欲を見せた。

 久貝清次(くがい・せいじ) 1936年生まれ。55年宮古高校を卒業(7期)後に上京。御茶ノ水美術学院研究科卒。日宣美奨励賞。日本橋高島屋宣研に入社。東京デザイナー学院講師も務めた。05年詩画集「おかあさん」で第28回山之口獏賞受賞。季刊詩誌「あすら」同人。11年に那覇へ転居。

カテゴリー一覧

ID登録でパソコン、タブレット、スマートフォンでお手軽に!