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行雲流水
2014年3月11日(火)8:55

「新聞の文化欄」(行雲流水)

 生物としてのヒトの特徴は生きる内容として多彩な文化を持っていることである。地域にとって文化は、自己同一性を担う地下の水脈である。また、個人の創造性は湧き出る泉である

▼厳しい世相であるが、新聞の文化欄は一服の清涼剤となる。というより、新聞がその一端を担う文化の興隆は、人間の本質に根ざした重要な課題である。2月日発行の本紙の文化欄を読んでみた

▼瑞慶山昇氏の『篠原鳳作と二季会』には絵画同人「二季会」の歴史が綴られている。旧制宮古中学校で、生徒から尊敬され、強い影響力を持っていた鳳作が図画(美術)を指導したことから、宮古中学校に絵画ブームが起きた。その卒業生たちによって戦後「二季会」が結成された。現在活動を行っている県内で最も歴史のある美術グループだという

▼長濱幸男氏の『在来馬の危機救った農民パワー』には、幾度か訪れた宮古馬の絶滅の危機を救った島民の努力が書かれている。大正時代、「馬匹去勢法」が公布された。大型の軍馬生産を目的としたもので、小型の在来馬を去勢するというものであった。これに対し、農民の強い反対運動で、宮古郡は適応除外され、宮古馬の種は守られた

▼垣花鷹志氏の『生きていたら…』には、生きることに希望を見いだせない青年を更生させた体験が述べられている。専門性はもとより、青年に寄り添う氏の人間的魅力が胸を打つ

▼日頃表層しか見えないものを研究者は深く掘り下げてくれる。「汝の立つところを深く掘れ、そこに泉あり」(伊波普猷)。

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