行雲流水
2014年3月29日(土)8:55
「太陽光発電」(行雲流水)
一昔前までは、民家の屋根からニョキッと突き出たコンクリートの柱が目を引いた。父は「将来、2階建てを造る準備だ」と教えてくれた。しばらくしてそれが「未来筋」と呼ばれていることを知り、その語源の響きとそれが持つ意味が夢を膨らませてくれた
▼現代の屋根の上にあるのは「住宅用太陽光発電システム」だ。エコアイランド宮古島を象徴するようなガラス張りのソーラーパネルが誇らしげに設置されている家を多く見掛ける。まさに自然の恵み。太陽が似合う宮古島ならではの光景で、新エネルギーによる省エネや環境保全へと夢は広がる
▼そんな市民の夢に水を差すかのような沖縄電力の太陽光発電の新規接続(電力買い取り)の保留だ。宮古地域の保留件数は20件に上るという。設置の準備を進めていた家庭や、ビジネスを展開していた業者などからは「そんな馬鹿な」という声が聞こえてきそうだ
▼太陽光発電はエコアイランド宮古島の目玉で、市も補助金を出すなど設置を後押ししていただけに、黙っているわけにはいかない。下地敏彦市長は沖縄電力に「設置したいという市民の要望も多い」として継続的な導入を求める要請書を手渡した
▼太陽光発電は、二酸化炭素の排出量が少ない新エネルギーとして注目されている。特に東日本大震災による福島第一原子力発電所事故以降、安全面や環境への期待は高まるばかりだ。日本だけでなく世界的規模だけに、官民一体の取り組みが重要になってくる。豊かな環境を次世代に引き継ぐためにも、途中で投げ出さずに最大限の努力が求められる。