少年補導員活動を通して/久貝陽子
私見公論91
少年補導員は、沖縄県警察本部長から委嘱されます。「少年補導員は、警察とその他関係機関団体、地域住民との連携を密にして青少年の非行防止をもって健全な保護育成を図ることを目的とする」と会則に記されています。その目的を達成するため八つの事業があり、野原勝也会長を先頭に宮古地区23名の指導員と3名の指導委員が地道に活動しています。
私は、平成14年5月に友人の勧めで委嘱を受けました。日頃から、子どもたちが事件・事故に巻き込まれないよう、非行に走らないよう、カラオケ店・ゲーム場・コンビニへの深夜の出入りをしないよう声かけをしたり、下校時のパトロールや朝のあいさつ運動をしたりと、さまざまな活動をしています。
私個人の活動としては、八つの事業のうち、環境浄化の促進および青少年の健全育成に力を入れています。テレビで得た情報ですが、ニューヨークの地下鉄の落書きがひどかったころは、治安が悪く犯罪が多かったそうですが、日本の技術力をもって落書きの落とせる地下鉄にしたら、治安が改善され、犯罪が少なくなったと聞きました。
宮古には地下鉄こそありませんが、海辺の防波堤・公衆トイレの壁の落書き、何とかならないかと思います。
こんなことがありました。荷川取漁港内のトイレの壁に「ドラッグ売ります」とのペイント。びっくりしてすぐ通報しました。翌週現場を確認しましたら、ペンキで上塗りされ消えていたので、胸をなでおろしたこともあります。みんなで気配りしていきたいものです。ここまでショッキングなものではありませんが、他の落書きはいまだにあります。
話変わって、不登校の少年との出会いがあり、その少年と農作業をしました。とても明るく、素直な少年でした。彼曰く、勉強するより早く働きたいとのこと。その言葉を受けて、私は自分を振り返ってみました。中学生のころ、わが家は子だくさんで貧しく、早く働いて、母親を楽させてあげたいと思ったこともあり、そのことを母に告げると、母には「せめて高校だけは行った方がいい」と強く勧められ進学しました。現代は、貧しいから学校へ行けないという環境は少ないと思います。少年も服装からするとおしゃれで、そのような環境は想像できませんでした。「頑張れ」のコールをしていたら、学校へ行ったんじゃないかと思われました。家庭の都合で祖母に育てられているようでした。子どもは両親で生み育て、祖父母や地域が見守り育てることが基本じゃないでしょうか。私は少年にこう言いました。「宮古で社長をしている大方は、昔ボーチラの人が多いと聞いたよ。君も学校へ行ってしっかり頑張れよ」と。もう一度チャンスがあれば、少年と話をしてみたいと思います。
私は普段農作業をしているので、草取りのとき感ずることがあります。小さな雑草も芽が出始めたとき抜いておけば草ボーボーにならなくて済むのになあと。子どもの格好・行動を見て、少しでも不良行為が見えたら注意すること、そして親として自分を振り返ること。親も子どもを通して成長していけると思います。親になれるということはありがたいことです。
最後に、宮古島はトライアスロンで盛り上がっていましたが、トライアスリートが「途中で何度もあきらめよう、逃げようと思ったけど、沿道の応援のおかげでゴールできた」という談話をよく耳にします。子どもたちもそれと同じで、見守り、励まし続けることが大事なんじゃないかと思います。みんなで応援しましょう。ワイドーワイドー
(くがい ようこ・農業)