行雲流水
2014年5月17日(土)8:55
「フラダンス」(行雲流水)
映画「フラガール」は福島県いわき市の炭鉱町を舞台にした秀作だ。石炭から石油への移行の波が押し寄せ、閉山に追い込まれている中、女性たちが町の危機を救おうとフラサークルを立ち上げた。「北国の町を常夏の楽園に変えよう」。実現までには紆余(うよ)曲折があったが、フラにはまったくの素人が猛特訓を経て、感動的なダンスを披露するラストシーンは圧巻だった
▼フラはハワイの伝統的な踊りで、ハワイの美しい自然を表現したものだという。総合芸術と同時に宗教的な行為でもある。南国的な衣装を着た女性たちが、ハワイアンミュージックに合わせて、時にはゆったりと優雅に、時には激しく情熱的に踊る様子は目を引き付ける
▼そんなフラガールたちの踊りが宮古島で見られる。「カギマナフラin宮古島2014」がそれだ。前年に続き2回目の大会には、地元6団体を含む全国から23団体400人余りが参加する。関連イベントは始まっており、17日の発表会や18日の競技会で最高潮を迎える
▼このイベント、実は一括交付金が充てられている。市民団体から新しい観光素材として行政側に提案があったという。市がハワイ州マウイ郡と姉妹都市を締結していることもあるが、アイデアとしては素晴らしい取り組みだ。宮古島の方言「美(か)ぎ」とハワイの言葉で魂、スピリットを表す「マナ」を組み合わせた名称も響きが良い
▼今回は東日本大震災に伴う原発事故で未曾有の被害を受けた福島の高校生も参加する。フラを通して宮古から「美しい魂」を発信し復興に向けてのエールを送ろう。