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行雲流水
2014年6月28日(土)8:55

「蛙」(行雲流水)

 梅雨が明けた。平年より3日、去年より15日も遅い梅雨明けだと沖縄気象台は告げた。梅雨時の日本の風情は紫陽花のカタツムリ、田んぼの蛙に象徴されるが、宮古島では趣が違う。カタツムリはなじみのあるものだが、蛙はほとんど目につくことがない

▼宮古島には3種類ほどの蛙がいたはずだ。そのうちでも「ミヤコヒキガエル」は文字通りの宮古島の蛙である。そのミヤコヒキガエルの姿を見ることがなくなった。ミヤコヒキガエルのことをカーフナタといい、その他の蛙はまとめてマナタといった

▼カーフナタもマナタも水たまりに卵を産む。今の宮古島には水たまりがなくなった。かれらが繁殖する場所がほとんどなくなったのだ。気象台が梅雨明け宣言をした日に植物園裏の池を見に行ったが、すっかり干上がっていた

▼池までの草むらには小型のバッタが足元から飛び立つ、蛙の餌は十分にあるではないか。しかし、蛙のこどもが育つ場所がない。ゼリー状の卵のうに包まれた水たまりの蛙の卵は鰓と尻尾を備えたオタマジャクシになり、やがて尻尾がなくなって四肢が生え陸に上がる。干上がった池では育ちようがないのである

▼カエルは陸上自然界の食物連鎖を支える存在だ。伝染病を媒介する蚊やその他の昆虫、節足動物などを捕食しながら、カエル自体は鳥類や小型動物の餌となる連鎖の重要な位置を占めるといわれる

▼圃場整備、排水事業等の公共工事をする際は蛙の生息環境に考慮があってもよいのではないか。公園整備の在り方でも水生昆虫やオタマジャクシが観察できる工夫が望まれる。

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