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行雲流水
2014年7月22日(火)8:55

「愛書の行方」

 本は身近にあって、簡単に手に取ることができるが、その内容は、同時代はもとより幾つもの時代にわたる世界の知性たちの、多様な思想や世界観、人間観を秘めていて、広くて深い

▼昨今は映像文化が華やかで、世界の絶景や、人々の暮らしぶりや、経てきた歴史等、多彩な情報に興味をそそられる

▼読書も、テレビの視聴も共に楽しく有意義なものであるが、その受け取り方は異なる。読書は、読む本を選択することも、論理的に内容を追うことも能動的で、主体的に想像力を働かせる。一方で、テレビの情報は直接感覚的に受け身の立場で与えられる

▼今日、マスメディアの発達は著しいが、感覚的に流されず、論理的に本質に迫る上で読書の重要性はますます重視される。また、文化や歴史を、正確に記録、継承、発展させる上でも、書籍・文献は重要である

▼ところで、人は仕事や趣味、教養や精神生活の充実のためなどの動機で本を購入するが、手に入れた本には特別な愛着を抱くものである。しかし、主観的に愛着を持っているものでも、客観的に貴重な文献でも、いずれ別れがくる。そのときどうするか、最近、あちこちで話題になることである。今日、引き取ってくれる図書館もない

▼でも、ある人にとっては欲しいものでもある。例えば、神田の古書店では稲村賢敷著『宮古島庶民史』は1万円で売買されている。貴重な書籍が必要な人の手に渡るような橋渡しのシステムがほしい。地域にとって重要な文献は公的に収集、保管すべきである。

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