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2014年8月3日(日)9:00

芳山 幸巳さん(23歳)/第35回宮古民謡コンクールグランプリ受賞

伝統芸能の良さ広めたい


芳山幸巳さん

芳山幸巳さん

 【那覇支社】「掲示板で自分の受験番号を見つけた時は自然と涙が出てきた」。7月7日に開催した2014年度第35回宮古民謡コンクール(主催・沖縄宮古民謡協会)において、最高位のグランプリ賞に歴代最年少で合格した芳山幸巳さん(23)=上野字上野出身=。3度目の挑戦で栄冠を射止めた。今回の同賞部門には県内外から男女計14人が受験し、2人が合格した。



 当初、芳山さんは「今回のコンクールは仕事が忙しくて十分な練習時間も取れず、なかなか意欲も湧かなかった。本当は受験しないつもりだった」という。見守る師匠の嘉島里私さんから「合格するしないは関係なく、前向きに挑戦して自分の実力を再認識することも大事」と助言や後押しもあり、実直にチャレンジ精神で挑んだ。


 歌や三線を始めたのは小学5年の頃。学校内の三線サークルに通う従姉妹の影響を受けて興味を持ち、手習いをスタートした。家庭では日頃から故祖父(芳山弘氏志元上野村長)が泡盛を飲みながら奏でる三線や民謡を耳にしながら過ごす環境にあった。


 「最初のきっかけはおじいちゃんだったかも。笑顔で楽しそうに三線を弾き歌う姿が今も思い浮かぶ。一緒によく歌わされて『上手、上手』と褒められた」と振り返る。琉舞を習う母親と宴会や親戚が集まる中で何度か披露したこともある。


 学校のサークル活動も続けながら、地元の民謡研究所の門下生として稽古に励んだ。日々の鍛錬の成果を発揮して宮古民謡協会の新人賞と優秀賞を立て続けにクリアし、中学2年で最高賞を獲得した。
 高校を終えて那覇の専門学校に進学。卒業後は会社勤務を経て現在、那覇市教育事務所の臨時職員。研究生6年目の嘉島民謡研究所で、毎週月曜日の練習に精を出す。芳山さんは「三線に専念してストレスを発散し、いろんな事を忘れたりする」という。


 今年9月21日に浦添市のてだこホールで開催する「宮古芸能祭」で表彰され、晴れの舞台で課題曲の伊良部とうがにを独唱で披露する。「まだ若輩者ですが自分なりの情感を込めて、最後までしっかり歌って聞かせたい」と意気込みを話す。


 そして、「宮古民謡が精神的にも人間的にも成長させてくれた。その恩返しとして、小さい子供たちにもふるさとの伝統芸能の良さや大切さを広めていきたい」と笑顔で語った。

 芳山 幸巳(よしやま・ゆきみ) 1990年8月24日生まれ。上野小・中、宮古高校、沖縄情報経理専門学校卒業。家族は上野在住の父・辰巳さん(59)と母・真千子さん(同)に1男2女。現在、嘉島里私宮古民謡研究所の研究生。

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