行雲流水
2014年8月5日(火)8:55
「原爆記念日」(行雲流水)
69年前の8月6日、広島に原爆が投下され、街は焼き尽くされ、多くの市民が無差別に殺りくされた。米国によって原爆が投下されたのは、ヤルタ会談で決まっていたソ連の対日参戦の前に投下することが戦後の世界戦略上有利と判断したからだと言われる
▼その後、冷戦時代には、幾度か原爆使用の危険があった。この深刻な事態に世界の人々は、「核戦争を許さず」と立ち上がった。科学者たちはパグオッシュで会議を開き、「ラッセル・アインシュタイン宣言」を発表した。宣言は、すべての核兵器は絶対悪だとした上で、政府の目的は戦争によっては促進できないことを自覚し、あらゆる紛争の解決のための手段を見いだすよう各国政府に勧告した。湯川秀樹もこの宣言に署名した
▼冷戦終結後の現在、軍事力を背景に覇権を競う環境のなかでは、核廃絶への道筋は見えてこない。現在世界に核弾頭は1万6000発余あり、その9割は、アメリカとロシアが所持している(ストックホルム国際平和研究所)。核廃絶には米ロの核廃絶への真剣な取り組みが不可欠である
▼「核拡散防止条約(NPT)」は、核の拡散阻止とともに、保有国には核軍縮への誠実な努力・義務を課している。唯一の被爆国として、日本にはそれを求めていく外交努力が期待される
▼しかし、昨年の広島と長崎の平和宣言はいずれも、日本政府がNPTの「核兵器の不使用を求める共同声明」に署名せず、またインドとの原子力協定交渉を批判している
▼明日は「広島の日」。反核、反戦の決意を新たにしたい。