「すべてのことに感謝することは、その人の健康を良くし」
「すべてのことに感謝することは、その人の健康を良くし、人格的に成長させ、良い人間関係をつくる力がある」
沖縄国際大学名誉教授 福里盛雄
1 すべてのことに感謝すること
私たちは、どんなときにも感謝することは、大変困難であります。自分に良いことが起きると私たちは喜び、感謝します。しかし、自分に不幸なことが起きると「なんでこの私に、こんな不幸なことが起きるのか」と、他人と比較して不平不満を言います。
私たちは、自分の人生に問題が起きないことを願って生きているのが一般的です。しかし、どんなときでも感謝することは、その人の生き方を劇的に変化させます。今の自分が置かれている状況に感謝して、その状況を心から受け入れ、次の新しい変化への力を学び取ることを考える。こうするとどんなときでも感謝するだけの価値が存在します。
現在は、いつ終わるともしれない出口の見えない困難な状況が襲いかかってきても、自分に対する一つの試練と考えて、それを自分の成長へのチャンスと捉える。そう考えると、そのことが、感謝への動機となります。どんな不幸な状況でも、喜んで、感謝して受け止めることが可能となります。そのような思考習慣を、持っている者には、すべてが感謝の対象となり得ます。
2 感謝することが、私たちの生活にどんな変化を与えるのでしょうか
まず、感謝することは、私たちを健康にします。感謝することで心が明るくさわやかになり、ストレスを解消し、心の平安を維持します。心のストレスはいろいろな病気の源だと言われています。感謝することで、すべての日常生活が、明るく活気に満ちあふれることになり、自然と健康体になると言われています。
感謝の言葉は、相手を喜ばせ、相手の存在価値を高め、感謝する人に対して親近感を持たせ、多くの人を引きつけ、人間関係を豊かにしていきます。社会的動物である人間は、幸せな社会生活をするためには、互いに感謝することが不可欠な要素だと言えます。
私たちの営んでいるすべてのことは、感謝の対象となる教材であります。朝、元気で目が覚めると感謝し、一日三度の食事に感謝することは、食欲を増し加えることとなります。
一日の自分の役割を一生懸命に頑張り、感謝して平安に満ちて床に就き、楽しい夢路をたどり、楽しい希望の夜明けを感謝して迎える。このような生活は平凡で、どこに感謝するところがあるのかと考える人もいるかもしれません。しかし、平凡な生活こそ、私たちにとっては、最も大切であります。そのような平凡な生活の中に、感謝すべきことが多く存在しています。そのような毎日繰り返される平凡なことに感謝できるようになれば、感謝の種は尽きることはありません。
すべてのことに、感謝する習性を持つまでに成長した人は、他人が見落とすような感謝の種を見つけ出し、心から感謝の心を持つようになります。そのような人は、感性を豊かに内部に養い育てていると言えます。私たちは、不平不満な心で、不健康で孤独に生きることもできるでしょうが、それとも、一度しかない人生をありがとうと心から、すべてのことに感謝して生きようと努力する賢い選択をするかは、その人の人生観、社会観に大きく左右されると考えます。
私たちは、正しい価値観、社会観を身につけ、どんな困難な状況下でも、その困難を一つの試練と思い、その試練を自分の明日への成長の糧にしたいものです。そのような考えの人は、どんな困難の中に突き落とされても、感謝することを忘れることはありません。こうして、すべてのことに感謝することが可能となります。