新年を迎えて
2015年の「かぎ正月」を迎え、皆々様のご盛栄をお慶び申し上げます。
古来、宮古の人は詩歌をこよなく愛し、祝いの座や隣近所の集いなど人の集まる所では即興で詩情豊かな歌のやり取りをしていました。男女の仲を取り持つ恋の歌は勿論であります。代表的な歌に「伊良部トーガ二」がありますが、その歌いだしに「サーヨーイ 伊良部渡の ほんとに 間には 渡り瀬があったら良いのに 渡り瀬は ほんとに小舟だよ=中略=伊良部の間のよ 大波を離れの間の=中略=私の手で 母の手で平らにして通わそう」※…と歌われた平良・伊良部島の間の海を渡らなくては愛しい人との逢瀬もままならなかった当時の人には思いも寄らなかった大橋が架かり、歩いて行けるようになるのですからまさに新しい時代の幕開けです。2015年の宮古圏域にとって、もっとも明るいニュースとして圏域住民の皆様と共に慶びたいと思います。人的な交流、産業の生産力向上、商工業や教育界、特に社会的弱者である体の不自由な人々やお年寄りの方には大きな変革であることは間違いありません。
さて、昨年はまさに選挙の当たり年でありました。年の暮れも押し迫った11月16日、県内最大の選挙と言われる県知事選、それに衆議院選挙、その結果はこれからの日本を、そして沖縄県の将来も左右しかねない大きな意義を持つものであります。
ここ宮古島市では昨年の暮れの12月22日、宮古島市と経済団体との懇談会においては将来の宮古島のビジョンについて真剣かつ熱のこもった話し合いが持たれました。農水産業や経済、観光、港湾等の課題とその取組みについて意見が交わされましたが、その中でも「圏域の人口流出を防ぎ、地元で専門的な知識を学び、地元で就職できるシステムが構築できれば地域の活性化につながる」との意見(ビジョン)がありました。
宮古圏域の第一次産業の柱であるサトウキビは宮古の経済基盤となる重要な産業ですが今期収穫は好調のようで、増産に大きな期待が持てそうです。
懸案としては新春早々に動きが予想される環太平洋連携協定いわゆるTPPの動きは予断を許さない状況であり、今後の交渉の推移を注目したいと思います。
お陰様で本紙も1955年の創刊以来今年で周年を迎えることになりました。これも読者、広告主の皆様に支えられた賜物だと感謝致しております。弊社のスローガンである「郷土に根ざした 確かな視点」をモットーに読者に愛される紙面づくりに励む所存です。今年も皆様が健康に恵まれ、良い年であることを祈念し、さらに宮古圏域が発展することを願い、今後とも宮古毎日新聞のご愛読をお願い申し上げまして新年の挨拶と致します。※(伊良部トーガ二・沖縄の古謡より)
2015年 元旦
宮古毎日新聞社
代表取締役社長 平良 覚