下地
「備えあれば憂いなし」/与那覇地区
津波対策、安全確保へ/防災センター建設進む
宮古島の各地域の中でも、とりわけフラットな土地柄であり、かつ、海浜に面した下地地区は2011年3月に発生した「東日本大震災」の教訓から、地震発生時の津波対策など地域の安全確保が課題となっていた。
その課題を解決すべく沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)を活用して事業化が決定した「与那覇地区防災センター」は昨年5月12日に起工され、今年中の供用開始を目指して急ピッチで工事が進められている。
同地区の中でも海抜の低い与那覇地区に建設される防災センターは鉄筋コンクリート地上3階建て(11・35㍍)で、建築面積は316・24平方㍍。収容人数は約400人、総事業費は1億4143万円で一つの地区で使用する地域防災センターとしては初の事業である。
旧与那覇公民館跡地に建設されるが、同跡地の海抜は2・7㍍で、地域周辺は海抜3㍍未満がほとんどを占めている。東日本大震災級の津波に襲われた場合、界隈は甚大な被害に見舞われる。
与那覇自治会の長間健二会長は「地域住民を対象にした防災センターができることによって、地域に住む人たちが安心して生活できることに加え、防災に対する住民意識も、なお一層高まるものと考える。自治会では地域連携のもと、一人暮らし高齢者世帯をどのように避難させるかなどの自主防災体制を早めに作る必要もある」と説明した。
建設される施設は研修等避難室のほか、備蓄室を備え、高齢者や障害者でも最上階にまで避難できるよう、1階から3階までをスロープで移動できる構造となっている。
また、備蓄室には非常時に使用するラジオ、カセットコンロ、カセットボンベ、毛布、誘導灯、応急処置セットなどを備蓄する予定だ。
同センターは「備えあれば憂いなし」を具現化する施設として、安全、安心な住民生活を保障する役割を担っている。
高齢者パワー全開/川満老人クラブ
地域活動に積極参加/毎月2回の定例会
下地地域の環境美化活動のほか、各種行事への参加、毎月2回の定例会開催など積極的に地域活動に参加し、高齢者パワーをいかんなく発揮しているのは、川満老人クラブ(下地哲雄会長)のメンバー40人だ。男性17人、女性23人で構成するまさに「がんずううやき」を地でいくグループだ。下は61歳から上は88歳3人のお年寄りたちが日々元気に活動を展開している。このグループを見ると、年をとっても、「かくあるべし」という理想像が見えてくる。
若々しさがほとばしる川満老人クラブの活動拠点は川満漁港そばにある公園。活動拠点を花いっぱいにしたいということで、花壇の植栽活動を行っていた。
下地会長は「ゲートボール場二つに隣接するこの場所は、川満のお年寄りの大事な拠点。春には花いっぱいに彩られるよう、総出で苗を植栽した」と話した。
定例会は毎月14日と30日に開かれ、そのたびに地域活動の事務連絡や、同クラブが行う活動について話し合いを持つという。その後はゲートボールで一汗流すのが毎月の催しだ。
下地会長によれば、下地地区の中でも一番まとまりのある老人クラブだという。川満自治会の行事に加え、下地地域の行事への参加、宮古全体の老人クラブ活動にも欠かすことなく参加している。
活動はゲートボールの体を動かすレクリエーションだけにとどまらない。教養を高めるということで昨年9月は宮古島気象台から講師を招いて「気象講座」を開講した。また、健康づくりの一環として4月は市健康長寿課の保健師を講師に講演会を開催した。
下地会長は「いつまでも若々しくあるためには、楽しく頭脳も働かせなくてはならない」と説明し、バスを借りて宮古各地域の「社会見学会」を催したことなどを話した。
「高齢社会を迎えた今日、われわれも地域社会を構成するメンバー。地域行事に積極参加することで、下地地域、宮古島市が目指す環境美化を促進し、子孫に誇れる美しい島にしたい」と話した。昨年、久米島町で開催された全県ゲートボール大会にも宮古の代表チームとして参戦した。「あいにく宮古4チームは敗退したが、来年は川満クラブは上位入賞を目指す」と下地会長は意気込んだ。