多良間
紅花で起業目指す/染め織、お茶に可能性
紅花を染めに用いた織物や茶のブランド化を目指して新年に新たな発展を志す女性たちがいる。織物組合「多良間花の会」(佐久本洋子会長)がそれ。
紅花は昔は多良間村内に数多く見られ「多良間花」の呼称で親しまれてきたが、近年は減少傾向にある。
その紅花を種から育て栽培し、乾燥後に織物の染色に用いるほか、茶の原料としても活用販売していこうというもの。佐久本会長は「平成25年に取り組みを始めたばかり。染めにしろ茶にしろ紅花が無くては始まりませんので、花の栽培に取り組んでいます。種をまき苗を育て、その苗を村民に配布しさらに育てていただく形で紅花栽培の輪を広げていきたいと会員一同頑張っています」という。
その中でも最年少ながら染め織の知識と技術に長け、会員に指導を行っているのが浜川文江さんだ。浜川さんは俗にいう多良間嫁で「祖母が染め織の熟練者で、いろいろと教えていただきました。その延長で紅花を用いた染めや、茶の原料にたどり着いたのですが、やるからには起業レベルにもっていきたいと思いますし、その手応えは感じています。幸い村も理解を示しており、昨年は多少ながら補助も頂きました。これを機会に紅花の栽培を常態化し、生産の向上が図れればと期待しています」と覇気をみせる。
佐久本さんは自らの畑地で栽培する紅花の成長ぶりを楽しげに示しつつ「他にも多良間島の誇る品々はありますが、紅花にもその可能性はあると思います。会員、村民が協力して取り組むことで多良間島に紅花織や、紅花茶ありと誇れるようになればと思います」と新年を迎えてさらに意気を高めている。
安心を運ぶたらまゆう/多良間島物流の命綱
離島の多良間島にあって人と物流面で島民の暮らしを支えているのが空の琉球エアーコミューターと海の第三セクター多良間海運(伊良皆光夫社長)の大型フェリー「たらまゆう」(457トン)だ。中でも島の暮らしに必要な物資のほとんどを供給している「たらまゆう」は島の命綱だ。
平良=多良間の間を1日1往復、日曜を除く毎日運航しているが、しけで欠航した場合などは日曜も運航する。スタッフは羽地勝也船長以下9人がローテーションを組み、日々の運航に対応している。
島の暮らしの全てに関係する物資の運搬だけに、港での作業は大変だ。スタッフは昼食もそこそこに積み荷を降ろし、新たな荷を積み替える。その作業ぶりは無駄がなく、スムーズに荷をさばく。スタッフ間の連携が取れているのがはた目にも分かる。
しかし、事は海上運航だ。しけの日もある。その時は当然欠航となる。すると島のスーパーは商品棚の空きスペースが目立つ。島民は「そういうときに備えて買いだめしているけど、食料品は鮮度がすぐに落ちるしね、やっぱり困ります」「建築資材などは作業工程で緊急に必要になる場合も多く、欠航で作業が止まる時もある」と、その影響の大きさを語る。そこには離島苦の一言では片付けられない事情がある。それだけに会社スタッフは日頃から気象情報には神経を使っている。
安全運航が第一だ。新年を迎えてもそれは変わらない。「美しい島」多良間に暮らす人々の安心を願う心に応えるべく、たらまゆうは今年も走り続ける。
【乗組員】船長・羽地勝也、機関長・知念武司、大濱秀谷、與那覇勝也、島袋雅幸、親里民生、豊見山常二、下地達雄、新里哲男、美里謙一