行雲流水
2015年2月5日(木)8:55
「夢と現実」(行雲流水)
伊良部大橋開通式の余韻が残る。「通行料金を徴収しない橋」としては日本一長い橋だという。川満昭吉伊良部村長(当時)の初要請から数えると足かけ40年の夢が実現した
▼伊良部島の人々の当初の願いは、救急医療、教育、福祉など「離島苦」の解消にあった。それに下地島空港の有効利用が加わり、さらに飲料水や農業用水の必要性が加わり、目的が多岐にわたった
▼中央省庁の管轄区分は複雑だ。上水道は厚生労働省、農業用水は農林水産省、一般道路なら国土交通省と予算の出どころが異なる。来間大橋はサトウキビ運搬用の「農道」として農林水産省の予算ですんなり実現したが、伊良部架橋は「前例がない」長い橋ということもあって担当窓口が宙に浮いた
▼最初の調査費要求は沖縄開発庁が担当。紆余曲折を経て国土交通省が引き継いでようやく着工にこぎつけることができたのは2006年だった。その間に先人たちが示した熱意と努力を忘れてはなるまい
▼幾多の困難を克服して完成した伊良部大橋だ。今度は、われわれの世代が夢を追いかける番だ。発展のためには必要条件(橋)と十分条件(意欲)が必要だ。橋を活用する多様な知恵が芽吹くことが期待されている
▼干ばつの不安解消は、農業のあり方に変化をもたらすであろう。観光開発のネタも尽きない。ジャンボ機の離発着訓練をわざわざ見に来るマニアもいる。産業開発や定住条件の改善に向けて、夢はふくらむ。夢は必ず実現することを先輩たちは示した。想像は創造の母だ、ともいう。