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人生雑感
2015年1月31日(土)8:55

子に対する家庭教育の役割は何か

子に対する家庭教育の役割は何か、それを果たすために家庭はどうあるべきか

沖縄国際大学名誉教授 福里盛雄

1 子どもに対する家庭教育の役割は何でしょうか。

 子どもに対する家庭教育の役割は、子が心身ともに健全に成長し、一人の社会人として、責任を持って生きていく力をつけてあげることである。子は、無知無力の状態で生まれてくる。そして、家庭で生涯人間として生きていく基礎を、まず親から教え授けられるのです。もちろん、子の教育に関わるのは、家庭の外にも学校やその他の機関もありますが、最も重要な働きをするのは、家庭教育です。家庭の子に対する教育を、子に対する子のしつけとも言うこともできます。

 今日の親たちは、子のしつけの名のもとに、子を虐待し、尊い幼い命を失っています。子供を虐待する親は、子供のしつけと虐待とはまったく別の概念であることを明確に認識する必要があります。子の教育は、子の人格を愛を持ってつくり上げることであり、子の虐待は、憎しみの心から子にいやな感情を抱かせるものである。子供のしつけは、子の人格を尊重し、その子の特質を引き出してあげることであります。子供は早咲き、遅咲きの時間的差はあっても、どの子もそれぞれの特質が与えられています。子の教育は、その子の特質を十分に発揮させるために援助することだと言えます。虐待は、その子の特質を発揮する力を奪い、子の命さえも奪い取ってしまう残酷な行為です。子供の教育は、どこまでも親の温かい愛によってなされなければなりません。ところが、子供たちは、親の望む通り正しい行為をし、健全に成長していくとは限りません。そのために他の親たちは苦しみ悲しみます。子供の家庭教育は、各国によっても異なり、また、時代の変化によって、時計の振り子のように厳しく、あるときは自由放任主義によったりして変化してきました。


2 子に対する家庭教育は、どうあるべきでしょうか。

 「一切れのかわいたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる」(旧約 箴言17・1)と聖書は言っています。平和な家庭ということは、コミュニケーションが家族間になされている家庭である。子の非行についての研究家は、非行少年の家庭に共通していることは、家族間に会話がないことだと指摘しています。家族間に会話がなされると、子の悩みや苦しみの原因が自ずと解決されていくのではないでしょうか。
 家庭の子に対する教育の目的は、子の心身ともに健全な人格形成ですから、子が人間としての道からそれないような自制心をつけなければならない。そのために、子の幼い頃から、やっていいことと、してはいけないことを識別し、自分が正しいと考えたことを実行する力をつけること。そのためには、子のわがままを認めてはいけないのです。子供をだめにする方法は、子を自由に放任することだと言える。子を愛するが故に、涙の愛で子のわがままな行為を拒否しなければならない場合もある。それがしつけである。
 また、親は、子がどんな友達と付き合っているか、温かい眼差しで見守ることを怠ってはなりません。なぜならば、子供の成長にとって友人の価値観、生活習慣は大きな影響力を持っているからです。家庭では、子供の友人について自由に会話がなされなければなりません。
 家庭教育の目的は、物事の善悪を識別する力をつけ、正しい考え方を選択し、思いやりの心を持った子に育てることである。子が健全な人格者として成長するか否かは、大半は家庭教育のあり方によるといっても過言ではないと考えます。良い子を育てることは親の誇りであり、社会に対する貢献でもあると言えます。

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