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行雲流水
2015年4月7日(火)8:55

「初音優しき」(行雲流水)

 「春は来ぬ、春は来ぬ、初音やさしき鶯(うぐいす)よ、去年(こぞ)に別離(わかれ)を告げよかし」(藤村)。各学校では、新しい年度が始まり、初々しい新入生を迎えて、活気がみなぎっている。児童・生徒たちが、心身ともに健やかに成長することが、親や教師、社会の願いである。そのためには、よき教育環境が不可欠である

▼鶯の囀(さえず)りは幼鳥のとき親の囀りを聞くことによって出来上がるという。種の持つ基本的な歌に、学習によって磨きがかかるわけである。江戸時代には、囀りの美しさを競わせる「鶯合せ」が盛んに行われた。飼い主は、それに備えて幼鳥を歌のきれいな名鳥の側で育てた

▼孟子の母は、はじめ墓地の側に住んでいたが、孟子が葬式のまねばかりするので、市場近くに転居した、ところが今度は孟子が商人の駆け引きをまねるので、学校の側に引っ越した。すると礼儀作法をまねるので、そこに居を定めたという。「孟母三遷の教え」である

▼わが国には、児童に対する正しい観念を確立するために制定された児童憲章があり、「児童は人として尊ばれる」、「児童は社会の一員として重んじられる」。「児童はよい環境の中で育てられる」という三つの理念が示されている

▼社会は複雑化しているが、この理念を具体化させる努力こそが、教育をゆがめる力を阻止できる

▼東小学校裏の森で鶯の鳴き声を聞いた。まだぎこちないが、次第に「ホーホケキョ」と美しく囀るようになるだろう。

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