行雲流水
2015年4月11日(土)8:55
「天の蛇」(行雲流水)
4月9日、小糠雨が止んだ西の空の雲の切れ目からの日差しが明るい。夕刻にはまだ間のある時間で日の光は昨日おとといの肌寒さを忘れさせる。空一面が晴れるかと思いベランダに出て空を見上げると東の空は黒雲に覆われたままだ
▼その黒雲を背後に鮮やかな虹が半円を描く、久々に見る天の蛇だ。平良の言葉でティンバウという。虹にまつわる話は天地開闢神話として世界中でいにしえから語り継がれてきた
▼ハワイオアフ島のマノア渓谷の峰々は風の神、雨の神を生みそのふた柱の神から美しい虹の乙女が生まれる。オーストラリアのアボリジニの神話にはボロングという虹の蛇がでてくるが、人の魂の象徴として語られる
▼石垣島の神話は、日の神に下界に島を造れと命じられたアマン神が天の七色の橋の上から土石を海に投げ入れて天の槍矛でかき混ぜると土石が固まって島になった。宮古の島立にかかわる虹は慶世村恒任の「宮古史伝」に見ることができる
▼天帝(あめのてぃだ)に島を造れと命じられた弥久美神(やぐみのかみ)は天の夜虹橋(ゆのづのはし)の上から天帝から預かった「天の岩柱」のかけらを大海原に投げ入れた。その石が固まって宮古の島ができた。キリスト教では、虹は「神との約束」を意味する
▼虹は天と地の架け橋、蛇や美しき者といった神話に限ったことではない。現代社会では社会運動の象徴として使われている。顕著なものとしては1960年にイタリアで考案された「平和の旗」があるし、1978年にアメリカのカリフォルニアで使われだしたのがレズやゲイといった人々の尊厳を象徴する「レインボーフラッグ」がある。