行雲流水
2015年8月20日(木)9:01
【行雲流水】「甲子園」
夏の甲子園は、きょう決勝戦を迎える。興南高校のベスト8進出や宮古高校の県大会でのシード校入りなどもあって、宮古でも甲子園は身近になってきたようだ
▼今年の全国高校野球選手権大会は、100年目の記念大会。大正4年(1915)に始まったというから、歴史の重みを感じる。甲子園を頂点として全国津々浦々にスポーツマンシップが伝播して行った歴史がある
▼第1回大会以来、大会スローガンは3F(ファイト、ファインプレー、フレンドシップ)だ。そのためかどうか、ファイトだけが強調された太平洋戦争中は、大会中止となっている
▼一方、米国市民は真珠湾攻撃を「卑怯な振る舞い」だとみなして立ち上がった。甲子園の大会スローガン「3F」には、普遍的な価値があるのかもしれない
▼青少年や個々の市民の間では根付いている「3F」だが、なぜか国家間の交渉ごとになると疎遠なものになっていく。近くは、中華思想にこだわる中国の覇権主義的傾向が気になる。民族、国益の壁を克服するための人類の知恵は、まだまだ未熟のようだ
▼甲子園には、おおげさに言えば国家や人生のドラマが凝縮されているようにも思える。必然と偶然、不可抗力と選択ミス、期待と誤算、喜怒哀楽。あらゆる場面を想定して対策と努力を積み重ねてきたはずだが、「筋書きのないドラマ」は起こる。それでも高校球児たちの「3F」は揺るがない。そこには、喜びとくやしさはあっても、おごりや卑屈はない。全国の高校球児たちの健闘をたたえたい。