行雲流水
2015年9月12日(土)9:01
【行雲流水】「予定価格」
坪単価8万円の土地を100坪買って、坪当たり30万円で40坪の家を建て、250万円の新車を購入する。余った金は不動産収得税を払う。これでわが家の春だ。あとは子育てに専念するだけ、まさに天下泰平だろう。庶民の目で見る2300万円の価値だ
▼これだけの金額が行政の手にかかると跡形もなく消える。雲散霧消だ。市の不法投棄ごみ処理にかけた2300万円の予算がどう使われたか、新聞紙上をにぎわしている。行政が何らかの事業を執行するとき前提となるのは予算だ。事業を執行する担当部署は事業にかかる予算を法令規則に則って適正に運用する義務がある
▼ところが新聞を見る限りその予算の使われ方があいまいになっている。宮古毎日新聞社の記者は担当部署の責任者だけでなく関連する幹部職員にあいまいな点を訊ねるが返ってくるのは不可解な答えだけだ。市の組織が機能していないのではないかと思えるような返事ばかりである
▼予算を執行するには対象となる事業について予定価格を決めなければならない。ところが担当部署の責任者はどうやらその作業を怠ったようだ。予定価格の決定がなされないまま事業執行のための入札を行ったのではないか、と思える
▼予定価格の事前公表云々の問題ではない。予定価格が決定されていない入札行為に問題があるのではないかと考えられるのだ
▼市の会計処理・出納責任の仕組みはどうなっているのかそのあたりも不透明だ。全体として市の組織が相互に連携していないのではないかと思える今回の事件だ。議会は当局に対して根源的な問題点を指摘し改善を求めるべきだろう。