行雲流水
2015年11月12日(木)9:01
【行雲流水】「労働生産性」
沖縄労働局によると、沖縄の労働生産性は全国平均の7割の水準だという。労働生産性とは、労働者1人当たりが働いて生み出す物やサービスの価値、つまり、付加価値(売上高-原材料費)のことだ
▼労働生産性は、労働者の賃金、銀行の利息、企業の利益へと分配されるから、富(所得)の源泉だといえる。労働生産性の低さは、沖縄の県民所得や最低賃金額の低さに連動している
▼その要因として、沖縄労働局は「産業構造の違いと離職率の高さ」をあげている。本土では付加価値率の高い業種(機械・電気・自動車製造業など)の比重が高く、沖縄は付加価値率の低い食料品製造業の比重が高い。また沖縄では、高校卒業生で3年以内に離職する人が61%に達するという。離職率が高いと仕事の効率や熟練度が向上しにくい
▼沖縄の産業構造を考えると、「観光関連産業」でいかに付加価値を付けていくかが課題であろう。特に宮古の場合は、そう言える。観光客1人当たり消費額は、全県の7割の水準にあるからだ(全県6万7000円、宮古4万5000円)
▼サービスの質が悪いと顧客単価は上げられない。宿泊施設や食事の質の向上、接客態度の改善などが急がれる。土産品の開発も重要だ。デザインやパッケージも付加価値を高める重要な要素だ
▼新しいアイデアなど高い付加価値を生める環境づくり、働く意欲を促して定着率と熟練度を高めることなどが宮古島を豊かにする着実な道のようだ。経営者の意識や身近な先輩社員の指導力に期待したい。