昨年の経済効果は3億9000万円/クルーズ船
海外から13回寄港、9372人が来島
今年は72回、7万6400人を見込む
昨年、多くの外国人観光客を宮古島へ送客した海外クルーズ船。13回の寄港で9372人が来島し、その経済効果は約3億9000万円とされる。今年は昨年を大きく上回る70回の寄港が予定されていて、国内クルーズ船も加えると計72回となり、約7万6400人の来島が見込まれている。宮古島の観光、経済への波及効果に期待が高まる。
2015年に宮古島へ寄港したクルーズ船は、スタークルーズ社(香港)の「スーパースター・リブラ」(4万2276㌧)とシルバーシークルーズ社(アメリカ)の「シルバー・ディスカバラー」(5218㌧)で、寄港数は「リブラ」が12回、「ディスカバラー」は1回だった。
中国福建省の厦門-宮古-那覇-宮古-厦門を結んだ「リブラ」は7月28日から10月26日まで、8、9月に各1回、台風の影響で欠航となったがほぼ毎週、計12回寄港した。前半の6回は午前9時に入港し午後7時に出港する10時間の滞在だったが、後半の6回は1泊停泊する1泊2日の滞在となった。
乗客数は、寄港初回が894人、2回目212人、3回目363人、4回目810人、5回目914人、6回目861人、7回目528人、8回目375人、9回目1591人、10回目698人、11回目903人、12回目1163人で合計では9312人だった。
9月から同22日までの6泊7日の周遊で、長崎-屋久島(鹿児島)-本部-宮古-西表-石垣-花蓮(台湾)-基隆(同)を巡った「ディスカバラー」はヨーロッパ人を中心とする60人を乗せて同19日午後に宮古へ寄港し、同日夜に出航した。同船の寄港は一昨年に続き2度目。
宮古島でこれまでクルーズ船寄港回数と乗客数が最も多かったのは05年の23回、1万3366人、次いで04年の22回、1万2756人で、15年はそれに次ぐ規模となった。
16年のクルーズ船寄港予定は、スタークルーズ社が「リブラ」を26回就航させるほか、「リブラ」よりも大型の「スーパースター・アクエリアス」(5万1039㌧)を新たに31回就航する。
新たなクルーズ船としてはプリンセス・クルーズ社(アメリカ)が大型船「ゴールデン・プリンセス」(10万9000㌧)を10回就航させる方向で調整中。同船の大きさになると下崎ふ頭に着岸できないことから平良港沖に停泊し、そこからテンダーボート(大型船に搭載された補助船)で乗客をピストン輸送する予定となっている。
そのほか、シーボーン・クルーズ・ライン(アメリカ)の「シーボーン・ソジャーン(3万2000㌧)」、ポナン社(フランス)の「ロストラル」(1万700㌧)、ノーブル・カレドニア社(イギリス)の「カレドニアン・スカイ」(4200㌧)、過去に寄港実績がある国内クルーズ船の「にっぽん丸」(2万2472㌧)と「ぱしふぃっくびいなす」(2万6594㌧)が各1回寄港する。
海外、国内クルーズ船を合わせた16年の合計寄港数は72回で、約7万6400人の来島を見込んでいる。
15年に「リブラ」で来島した観光客へのアンケートによると、宮古島で土産品購入や食事で使った1人当たりの消費額平均は3万9305円で、クルーズ船客全員9372人が同額を消費したと考えると3億6836万6460円となる。そのほかタクシー料金やバスチャーター料金、港湾施設使用料の合計は2214万2000円であったことから、15年のクルーズ船寄港による経済効果は約3億9000万円と考えられる。
宮古島で印象に残ったものについての回答では、「ビーチ」が最も多く、次いで「橋」、「ショッピング」、「食事」の順となっている。宮古島観光での不満としては「WiFiが少ない」が最多で、次いで「免税店が少ない」だった。
今年、宮古島へ海外クルーズ船の寄港が増加する要因について、市観光商工局の下地信男局長は宮古島の魅力そのものを挙げる。「スタークルーズ社が昨年、寄港して、宮古島は良いとの評価を得られ、その情報が広まったのだと思う。アンケートでも受け入れに対する評価は高く、ビーチや橋など、私たちが宮古島の『売り』にしているものが評価され、今年につながったのだと思う」との考えを示す。
課題としては下崎ふ頭寄港後の交通手段の不足を懸念。受け入れ側の語学力やWiFi環境の不十分さも対応が必要との考えを示す。「バス、タクシーに関しては民間の取り組みになるので各社に努力をしてもらいたい。通訳の確保も必要だが接客をする人はあいさつや買い物に必要となる最低限の語学力は身に付けてほしい。WiFiは主要観光地などでの整備に向け、新年度で予算要求をしている。クルーズ船の受け入れが宮古島に大きな経済効果をもたらすことははっきりしているので、その点も視野に入れながら考えることが必要」との思いを語った。