【特集】新年号
2016年1月1日(金)9:03
3種目で世界新/M90 400㍍ 800㍍ 1500㍍
亀濱さん90歳、マスターズ陸上で快挙
ぴんと伸びた背筋、ぜい肉一つない引き締まった体型、類いまれな脚力。どれを取っても「世界一」の名にふさわしい超人だ。「年を取らないのか?」。そんな声がまことしやかに聞こえてくる。
昨年11月に開催された陸上の全日本マスターズ選手権。亀濱敏夫さん(90)はM90クラスの400㍍と800㍍、1500㍍の3種目に出場し、すべて世界新記録で優勝した。
1500㍍は7分37秒8という驚異的な記録を打ち立てた。成人男性でもよほど体力に自信がある人でなければ出せない記録だ。
90歳になった今も陸上を続ける理由を聞くと「特にないよ。走ることが好きなだけさ。体を動かすと気持ちがいいからねえ」と目尻に深いしわを寄せてにこやかに話す。好きなことに熱中してきたことが、偉業の達成につながった。
そんな亀濱さんの日課に運動は欠かせない。歩いたり、走ったりを毎日のように続けている。
4日に1度は平良のパニパニコートを出発し、伊良部大橋を渡り切って往復する練習も行う。つらい表情一つ見せずにこういったルーティンを平然とこなす姿が年齢を疑わせる。
家の中でも、屋外にいても、とにかく体を動かしている。まるでそうしていないと自分じゃないかのように。「きびきび動く」。そんな印象を残す90歳だ。
陸上は「体が言うことを聞く限りは続けるよ」と話して、こう続けた。
「でも記録とかを狙うわけじゃないよ。ただ好きだから走るんだ」