行雲流水
2016年1月28日(木)9:01
【行雲流水】「天候不順」
天候が例年とは違うようだ。少雨・暖冬が続いたかと思うと長雨にみまわれ、そして今度は大寒波の襲来だ。戸惑うのは、農作物や魚たちだけではない
▼昨年暮れ、赤茶けたニンニク畑を見つめる農家の主婦に「営農指導員に相談すればよかったのに」と言ったが、昨今は他人事ではないような気がする。地球規模の気候変動の影響は足元まできている。専門家の話に従うだけでなく、事実関係をふまえて自分の頭で考えることが重要であろう
▼昨年末の地球温暖化に関する国際会議「COP21」では、ようやく各国の足並みがそろった。先進国だの発展途上国だのと国益の議論をしている場合ではない、と気づいたのだろう。CO2排出抑制についての各国の努力目標が定まった
▼だが、異常気象の原因は温室効果ガスだけではないようだ。偏西風の蛇行、エルニーニョ現象、MJO(赤道付近で発生する乱雲。40日間で地球を一周)などが複雑にからみあっているという。しかし、お天気キャスターは蛇行や変調の結果を伝えるだけで、その発生メカニズムはイマイチはっきりしない
▼気象学には未知の分野が多いのかもしれない。海水温上昇には大気温度だけでなく、「海底の地殻温度上昇が関係している」との仮説もありそうだが、どうだろう。それとも「ない」と証明済みなのだろうか
▼むかし読んだハヤカワ文庫のSF小説に、南太平洋の海底火山に翻弄される帆船物語があった。近くは小松左京の「日本沈没」もある。気象・海象・地象への興味は尽きない。