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私見公論
2016年2月12日(金)9:01

【私見公論】情報通信技術(ICT)活用による観光振興/仲里雅彦

 伊良部大橋の開通や新規ホテル開業、大型クルーズ船の寄港に伴い、国内はもとより外国人観光客が増加し、今年度の観光客数は過去最高の50万人・経済波及効果も250億円を超えると予測されている。観光産業は、島の経済振興・雇用創出・人口維持に大きく寄与しており、観光産業の活性化に資する情報通信技術(ICT)活用策を提言したい。

 ICTは身近なものとなり、ウェブサイトを通じた情報発信、ブログやTwitter等での情報交換、スマートフォン(スマホ)で使えるアプリや位置情報の活用など、生活をより便利に楽しくする多くの可能性があり、ICTを活用した観光振興の取り組みが各地で進められている。

 旅行に出かけるとなれば、事前にインターネットでホテルや交通機関を予約。旅先の情報はネット検索で情報収集。これが今の旅スタイルだ。観光産業は、いかにしてインターネットと上手に付き合うかが求められており、「無料Wi-Fi」・「多言語音声翻訳機能」・「位置情報による観光行動誘発」がキーワードと言われている。

 スマホの普及により、常にスマホを持ち移動観光しているのでWi-Fiニーズが強く、空港・商店街・観光リゾート施設等が利用場所で、Wi-Fi環境の整備によりインターネット接続環境が構築され、スマホ・タブレット端末を利用し手軽にSNS等で情報発信したり、観光情報を入手することが可能となる。

 一方、現状は設置場所ごとに接続方法が異なるため、行く先々で接続操作をやり直す必要があり不便である。認証手続きを一度済ませておくと、島に滞在中は再認証手続きが要らなくなるシステムも同時に構築する必要がある。

 また、災害時に携帯電話回線が不通または輻輳した際に、インターネット回線を通じて避難情報の受信や安否情報の発信等ができる防災情報提供システムも併せて必要なことから、行政と民間が連携して「宮古島市観光・防災Wi-Fiステーション整備事業」について提案する。整備主体は宮古島市とし、運営については民間事業者が収益モデルを確立することで、市の後年度負担が低減される公設民営を基本としたい。

 次に多言語音声翻訳機能であるが、外国人観光客が増える中、情報の多くが外国語に翻訳提供されていないのが現状であり、言葉の壁に不安を感じる観光従事者も多く、改善策として多言語音声翻訳システムを導入し言葉の壁を無くす施策が必要である。

 外国語に自動翻訳した言葉を、スマホ・タブレット端末のスピーカーから発声する仕組みが開発され、観光・食事・イベント・買物などの情報から医療施設や、交通、宿泊施設、飲食店の予約はもちろんのこと、来店時の通訳サポートも多言語で対応するシステムが開発されつつある。また、避難者への多言語での災害情報提供、安否確認等の機能を実装して、防災アラート等が外国人観光客に直接メッセージが送られ、災害時に情報から孤立しないアプリも開発されており、外国語に通じた人材確保が追いつかない島の現状改善を図るため早急に導入する必要がある。

 最後に、位置情報による観光行動誘発の新たな可能性である。スマホなどのモバイル端末の利用拡大とGPSやWi-Fi、携帯基地局測位など位置情報を把握する技術の進展による位置情報データの活用拡大により、ICT活用による観光行動が大きく変化しようとしている。特に、O2O(OnlinetoOffline)と呼ばれるインターネット上で調べた上で実際の店舗で購買するといったオンラインからオフラインへの誘導を図ることが消費行動において増えてきており、位置情報を活用した観光行動を誘発するためにどのような情報を提供し、どう整理して観光行動に結びつけるかが求められている。

 昨年11月、商工会議所は「スマホ・タブレット端末の普及が急速に進み、誘客を勧めるにあたってはネット環境の整備が重要になる」と訴え、市は中心市街地のWi-Fiについては「観光振興の面で整備の必要性を感じている」と回答しており、官民連携による観光産業の活性化を切り開く情報通信技術導入に期待したい。

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