行雲流水
2016年4月5日(火)9:01
【行雲流水】(春四月)
春・4月。赤、白、黄、多彩な花が咲きみだれ、野山のあちこちで鳥がさえずっている。俳諧では、山々の木々が美しく、春の日に照らされて山そのものが笑みを浮かべているようだ、ということで、この季節の山の姿を「山笑う」と表現する
▼もともと沖縄には夏と冬を表す言葉はあるが、春と秋はない。しかし、「うりずん」と「若夏」が春から初夏にかけての、また「白夏」や「白北風」は初秋から秋に相当する美しい言葉がある
▼「うりずん」は潤うの意の「うり」と染みとおるの意の「ずん」(じみ)が複合してできた語で、降雨が土に潤い染みることを原意とする。4月も下旬になると、「うりずん」の節から「若夏」へ移る。若夏にはうりずんに芽吹いた草木が緑を濃くして、生命力を旺盛にする
▼春・4月は、別れと出会いの季節である。各学校では、不安と期待を抱えた新入生を迎えて、その祝福で学園がはなやぐ。各職場では、職員仲間との出会いを喜び、新体制のもと、それぞれが決意を新たにする
▼それにしても、いくつもの条件が重なって宇宙の中の地球はこんなにも生命の存在に適している。地球の自転軸が公転面と垂直でないために季節がめぐり、自然や人間の活動にメリハリをつける
▼この素晴らしい地球と生命を守ることは、人間に与えられた崇高な使命である。戦争はもとより、権力の横暴と抑圧、差別や偏狭を排除しなければならない。歌『花の街』が流れてきた。「七色の谷を越えて/流れていく風のリボン。-」。