行雲流水
2016年6月7日(火)9:01
【行雲流水】(宮古の自然と文化)
「宮古の自然と文化を考える会」がある。その目的は、「ふるさと宮古の自然と文化について、会員が知識を広め理解を深めることにつとめ、その上で、あらゆる観点から調査研究を行い考察を加えて、宮古のあるべき姿を模索し、その果実を地域社会に提起すること」にある。(初代会長平野長伴)
▼この目的達成の一環として、同会は宮古の自然・文化・民俗・歴史など各方面の学術的専門家を講師に那覇で講演会を開催、それをもとに『宮古の自然と文化』を発行した。そのサブタイトルは「永続的に繁栄する美しい島々」である
▼「破壊された自然は元の形には戻らない。計り知れないほどの年月をかけて育まれたものが、一瞬にして台無しにされる」(長堂芳子)そんなことのないようにとの願いが込められている
▼『宮古の自然と文化』は第3号まで発行されており、多彩な論文が掲載されている。「バタフライ効果」という比喩表現がある。一羽の蝶の羽ばたきが遠く離れた場所の天候に影響するほどに自然は相互に関わっている(中西康博)
▼陸や海、森林や地下水と共に、生き物も大切にしたい。サシバには、幼鳥を育てる親鳥を助けて、餌を探してくる役割の鳥がいるという(久貝勝盛)。健気で神秘的な彼らは共に生きる仲間である
▼ツバメの方言名は「マミナラシャ」。ツバメの飛来は神の使いで、マミ(豆)をナラシャ(実らせる者)の意と書く渡久山章氏は、「自然は未来からの預かりものである」と語る。われわれに自然を破壊する権利はないということである。