行雲流水
2016年7月14日(木)9:01
【行雲流水】「参院選雑感」
古来、政治家の偉さの基準は動員力だった。ある政治評論家によると、今でも中央政界では得票率の高い人が尊敬されるという。票を動員できる人は、優れた選挙参謀や有力者をも動員できる人望の持ち主であるとのこと
▼落選して「私の不徳」をわびる人は、このことが分かっているから次回は当選する。逆に、敗因を他に求めて言い訳がましい人は次回も落選するという
▼運動員の場合はどうだろうか。勝ち組は得意満面、負け組は残念無念の表情を浮かべる。負け組には、無念さの余波として嫉妬心が芽生えがちだ。心理学者によると、嫉妬にも二種類あるという。向上心のバネとなる健全な嫉妬と、相手の足を引っぱる不健全な嫉妬だ
▼宮古には「他人のウヤキ(富貴)やザニフ(ねたましい)むぬ、他人のウドゥキ(大欠損)やプカラス(うれしい)むぬ」との俗諺があると聞く。おおっぴらに語られていたかどうかは定かでないが、人間の深層心理をついていることは確かだ
▼だから「勝っておごらず、負けてひがまず。自制心と向上心を忘れるな」との〝いましめ〟であろう。高校球児たちは体得しているが、大人たちはどうだろうか
▼今度の選挙結果をみて、「民意」の意味を考えさせられた。宮古と沖縄と全国の「民意」が異なる。宮古の民意は沖縄の民意に埋没し、沖縄の民意は全国の民意に埋没する。「民主主義」という政治システムのもとでは、「民意」は結局「多数決」に集約されていく。「民意の尊重」という言葉は、よくよく考えて使う必要がありそうだ。