行雲流水
2016年8月2日(火)9:01
【行雲流水】(「生命(ぬち)どぅ宝」)
1時間で半分燃えるろうそくは、2時間では全部燃え尽きる。ところが、放射能を出して崩壊する放射性元素の原子核の場合、半減期(プルトニウムは2万4000年)ごとに残っている半分が崩壊して、全部が崩壊することはない
▼そのため放射能汚染がなかなか終息しない。チェルノブイリ原発の爆発では広島に投下された原爆の400倍の放射性物質が放出され、30年たった現在でも、半径30㌔の範囲で人が住めない
▼爆発を起こした放射能まみれの原子炉は「石棺」と呼ばれるコンクリートの建造物に覆われている。この石棺は耐用年数が経過したので、耐用年数100年の最新式のものにかえられる。棺(ひつぎ)の中で、人は静かに永眠するが、放射性物質は、いつまでも悪魔の目を白黒させている
▼戦争では対戦双方が被害を受ける。原発に爆弾がひとつ落下されると、国は壊滅的な被害を受ける。それでも原発を許容するのは、戦争は起こらない、起こせないと思っているからだろう
▼そうだとしたら、沖縄の米軍基地は、アメリカの世界戦略のためのものである。しかし、なぜかそれが検証されない。ベトナム戦争ではアメリカの社会が荒廃し、反戦運動が起きた。中東での戦争は、その悲惨さが隠され、ゲームのように放映されたので、任天堂戦争と呼ばれた。その間、いかに多くの尊い人命が失われたことか
▼経済覇権を支える巨大軍需産業のまえでは人の生命は平等ではない。「生命(ぬち)どぅ宝」。沖縄は生命と人権を守り、主張する。