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私見公論
2016年9月10日(土)9:01

【私見公論】供給はそれに等しい需要を創り出す/玉那覇 通男

宮古・本土直行便の波及効果/新・観光立国論in宮古

○宮古観光のエポック
 昨年は宮古圏域の社会・経済にとってエポックを画した年であった。スタークルーズ社の大型客船の寄港は7年ぶり、宮古・関西国際空港線の運航再開は8年8カ月ぶり、市制施行10周年。昨日は9月9日「重陽の節句」。菊酒を楽しみながら、好調な宮古観光の長久を祈った。
 次のエポックを那覇空港第二滑走路が供用開始となる2020(平成32)年と予測している。それまでの間、那覇空港の発着枠は過密で、宮古・本土直行便の集客効果が引き続き見込まれ、最大のチャンスだ。一方で同年に団塊の世代は70歳を迎え、シニア層の需要が先細る。世代を問わず伊良部大橋目当ての観光需要が一巡するのもその頃かもしれない。
 宿泊施設などの観光の受け皿はシャコ貝の殻の如く、急に大きく厚くならないので、観光需要が好調な今のうちに受け皿整備が急がれる。

○供給が需要を生む
 航空便の搭乗率やホテル稼働率の高止まりなど、需給がタイトな宮古観光の現状は供給不足にある。私見であるが、解消に向け「セイの法則」(セイは19世紀の経済学者)『供給はそれに等しい需要を創り出す』を引用したい。例えば新たな観光関連施設の供給は、新たな需要を創出する可能性がある。

○本土直行便の波及効果
 好調が続く宮古圏域の観光業には、宮古・本土直行便の波及効果が現れている。消費単価が比較的高い、ファミリー層やシニア層の需要を取り込めたことが大きい。高級リゾートホテルの客室から予約が埋まり、市街地の宿泊施設に波及している。山と同様、頂上が高いほど裾野が広く、効果が大きい。また、宿泊施設等の新増設等の需要は、建設関連業種に波及効果をもたらしている。

○いらぶ島マルシェ
 伊良部島においては、素通り観光から島内消費(飲食、土産品他)を伴う観光への転換に向け、地域経済活性化の受け皿となる観光拠点施設の整備が急務である。中核施設を「公」で先行整備し、「民」が指定管理者として入居し、民間店舗が裾野に展開する順番が望ましい。インフラ整備などに係る民間店舗の負担分が小さくなり、事業の成立可能性が高まり、資金調達のハードルが下がる。
 宮古島市伊良部商工会女性部が橋詰広場で定期的に開いている青空市場「いらぶ島マルシェ」は、課題解決に向け、地域事業者が団結し、できることから始めた好例であり、エールを送りたい。同会青年部の「伊良部特産品売り込み隊」も同様である。

○多良間村版の島の駅
 私の持論は、「ファミリー層やシニア層は飛行機に3回は乗らないが2回は乗る」である。多良間村は、宮古・本土直行便の波及効果による観光客数の増加が期待できる。「20年前の宮古の海が手付かずで残っている」と地元住民からも絶賛される水納島は、観光資源としてのポテンシャルが極めて高く、ニーズも高い。活用できる時代が遂にやってきた。多良間特産品の販売促進や宿泊需要に誘導する拠点となる村営「多良間村版の島の駅」の設置が急がれる。

○先島全域を受け皿に
 宮古圏域と八重山圏域は、代替的より、相互補完的な関係を築くことで、シナジー効果が生まれる。受け皿が2枚に増えれば滞在時間が延び、観光消費が拡大する。蝶番部分(宮古・石垣路線)がよりうまくかみ合えば、宮古島でゴルフを楽しむ客層をより多く取り込める。
 国交省は宮古圏域を含む沖縄の島々を観光で巡る「Be Okinawa琉球列島周遊ルート」を「広域観光周遊ルート」として認定した。受け皿はさらに拡がる。

○ICTの網を張ろう
 仕上げに、受け皿にはICT(情報通信技術)の網を張ろう。観光客を対象とした無料Wi-Fi環境の提供に際し、多言語対応した「エコアイランド宣言」をポータルサイトのトップに据えることを提言したい。宣言を国内外に広く発信することで、魅力ある観光地として、一層の差別化を図ろう。

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