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行雲流水
2016年9月22日(木)9:01

【行雲流水】(辺野古判決)

 辺野古埋め立てをめぐる高裁判決が出た。翁長知事が埋め立て承認を取り消した処分を撤回しないのは違法だとの判決だ。県は上告し、最高裁の判断にゆだねることになった

▼この裁判は多くの問題をはらんでいる。那覇の新聞は、裁判所は権力側に寄り添うのではなく地元の民意を尊重すべきだと主張した。しかし、この主張には無理がある。法の番人は権力にも世論にも左右されてはならないからだ。ただ、結論をみれば、判決の内容は国の主張をほぼ採用しており、県としては上告せざるを得なかったのであろう

▼国と地方自治体は対等で協力関係にある(上下関係ではない)との考えは、1999年に確立した。だが外交・防衛は、なお国の専管事項だとされている。最高裁では、この二つの命題を調和させる新見解が出るかもしれない

▼難題はいわゆる「統治行為論」であろう。つまり、条約等に基づく行政行為について裁判は関与し得ないとする考え方だ。過去の安保条約がらみの判決の背景には、この考え方がある。国・地方関係の変化をふまえて、最高裁が新見解を出すかどうか注目したい

▼他方、「法の安定」の視点もある。司法判断を簡単に変えてはならないとの考え方だ。結局、立法府の怠慢だとなれば、国民の意識や世論も関係し、堂々巡りになる

▼政治の重さと危うさを思わざるを得ない。官邸も知事もかたくなにならず、胸襟をひらいて協議する妥協策しかないのかもしれない。その間、宜野湾市民に忍耐を強いることになる。これをどう考えるかも問題だ。

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