【私見公論】ちょっと待てよ もしかして/仲間明典
宮古も無縁ではない緊張高まる東・南シナ海
失恋を経験しなかった人は少ないと思うが、落胆と後悔が体中を走り、地球がため息色に染まる。しかし、とり返しもきかない。人生いろいろさと、酒をあおって演歌の世界に埋もれて、自己嫌悪と後悔にたどりつく。
8月24日から日中韓外相会談が東京で開かれた。日本は岸田外務大臣、中国は王毅外相、韓国はユン・ビョンセ外相であるが、焦点は9月4日と5日、中国杭州で開催されたG20サミットへの根回しであることは明瞭である。
そこで1回目のちょっと待てよであるが、見え透いた中国王毅外相の態度である。作り笑いに日本語のあいさつ、何かある。そう洞察するのが常人の疑である。あの小賢しい国家の中国共産党だ、議長国である中国の威信が懸かっているのは分かる。アキレス腱になっている仲裁裁判所の判断を無視した南シナ海問題、北朝鮮の核ミサイル問題、御都合主義もここまでくると、その横暴は本末転倒、わがままじゃすまされない。
最近の中国を取り巻く情勢は気になるのが多い。8月30日のキルギスでの中国大使館爆破テロ。米国とインドの軍事協力による包囲網の確立(中国は過去3年間でインド領を600回以上侵犯している)。プーチンが苦笑いしたというシベリアの中国領発言、国内では国防費バブルの破裂による景気減速、経済不況による国営企業の30万人超の労働者解雇、江沢民、鄧小平派等との権力抗争の激化、軍部との亀裂(発生は地方部隊の人事異動)景気や予算は実態数字を明らかにせず、公表するのは、数値目標だけである。
9月16日稲田防衛大臣がアメリカのカーター国防長官と会談した。焦点は南シナ海問題と尖閣問題、北朝鮮の核開発問題への対処についてである。両国は合意した。オバマ政権の中国政策の甘さと、北朝鮮対応の拙さに乗じて、周、金体制は着々と拳を磨いてきた。やっかいなことに5月には、中国で「沖縄独立に関する研究会」が開かれ、日本からも10人近い学者や関係者が出席している(当然辺野古も話題になっている)。
そこで2回目のちょっと待てよであるが。
中国は太平洋への海路を確保するため琉球列島はどうしても欲しい。東シナ海は潜水艦活動をするには浅いが最短距離で太平洋に出れる。尖閣周辺の接続水域から領海への侵入という挑発行為は言語道断であるが、通常領海侵犯は攻撃の対象である。しかし、日本側が先に手を出してトラブルを起こせば、国連安保理で制裁の対象にされてしまう。中国側が先に手を出して、トラブルが発生しても中国には拒否権があり、国連安保理は開けない。
このような背景の中、佐良浜の漁師たちは自国の海で漁をすることができない。冬場は死活問題である。誰が助けてくれるんだ。漁師が何か悪いことをしたのか。県を含め各自治体、真剣に尖閣の領土、領海問題は直視すべきである。
業を煮やした米国のカーター国防長官は、対中国に危機感をつのらせ、空では第5世代のステルス戦闘爆撃機F35を空軍に1700機、海軍と海兵隊に600機、ステルス戦闘爆撃機F22、無人偵察機グローバルホークの配置を決定。海ではズムウォルト級のミサイル駆逐艦DGD1000を中心にアーレイバーク級3型駆逐艦20隻、新鋭の巡洋艦20隻、上陸用強襲母艦17隻の建造を指示、南シナ海へは小型特殊艦艇十数隻、フォード級原子力空母の実戦配備、さらに4隻の新鋭空母、12隻のミサイル潜水艦、18隻の原子力攻撃潜水艦の建造を指示している。アメリカでさえ本気の対応を始めている。祖国日本ももう少し強気になってもいいのではないか。
情報を系列的に並べると桁違いの緊張の真っただ中に居ることが分かる。
それが何を意味しているのか。秋山大輔と神重徳は今の状況をどう考えるのか興味があるが、国立国会図書館の入り口には「真理がわれらを自由にする」という文言が掲げられている。女心は全く読めないが、宮古を取り巻く情勢は厳しいのはなんとなく読める。