【私見公論】草木で癒やしの島を/西田 研
1 薬草・山菜
前回、シロバナセンダン草をムツウサと表記しましたが、宮国のひとから「同じものでない」と教えていただきました。実物のムツウサは黄色の小さな花でした。花が熟すると粘液が出て衣類などに付着するそうです。
図鑑によるとシロバナセンダン草は北アメリカ原産で種の先にとげがあり衣服に刺さります。「沖縄の自然を楽しむ 野草の本 屋比久壮実著 おきなわフィールドブック3」両者とも衣類に付着するため同じ名前で呼ばれるようになったのでしょうか。
ムツウサの学名は正確には分かりませんでしたが、同図鑑にはムツウサの特徴をもつものとしてツクシメナモミが掲載されています。インターネットの資料では漢方薬としてリウマチの治療に用いられているそうです。
この図鑑には薬草52種、食べられる野草36種、毒草13種、その他65種が掲載されています。現存する野草について方言名での調査を早急に行う必要があると思います。
2 蜜源植物
ミツバチが蜜を集める花を付ける植物です。手元には「沖縄の蜜源植物(嘉弥真 国男)沖縄タイムス社」があります。336種が収録され、学名、方言名が記載されています。さらに、その花が蜂にとって花粉源であるか蜜源であるかが説明されています。そして蜂の一日を通した活動が時刻、気温および観察されたミツバチの数が表になっています。
小生の四角豆にも毎日たくさんの蜂がやってきます。台風対策でパタンキュウを倒してネットをかけると彼らは蜜を吸うことができず、ネットの周りで「ブンブン」騒いでいます。受粉できない花は実をつけず減収になります。そんなことが分かったのでできるだけネットを掛ける時間を短くすることにしました。
本土では日本ミツバチが水田で使用された農薬によって激減しました。そのため多くの養蜂家が宮古島に避難することを真剣に考えた時期がありました。同様の成分を含む農薬は宮古島でも使用されていますが、知人の一人も全ての蜂を失ったと話していました。
宮古島では開発によって原野と森が減少し、ムツウサのように少なくなりつつある野草と樹木が多いと思います。前回述べた食べられる野草を含めて、市立総合博物館によって、これらのデータベースが構築されることを望みます。そして博物館が宮古島の宝物である植物の特徴、利用方法、それらを扱うお店やレストランを発信することを望みます。さらに博物館に隣接する熱帯植物園で栽培展示されることを望みます。
3 大野山林空中散歩
大野山林は野鳥、山菜、昆虫などの宝庫です。クジャクがマイマイを食べたため蛍が減少したようです。以前、夜の散歩で暗闇に輝く光を見て感動したことを覚えています。
突然ですが、大野山林を空中や樹幹の間から見ることができたら素晴らしいと思います。海外の自然公園では、樹冠の上をターザンロープのようなもので空中散歩する映像がテレビで紹介されていました。この施設ができれば市民だけでなく観光客にも人気がでると思います。
季節ごとにいろいろな花が咲き乱れ、鳥がさえずり、蝶が舞う光景を体験する空中散歩は素晴らしい癒やしのひとときになるでしょう。このために大野山林を亜熱帯の森として再生し楽園にする総合計画を樹立し、市民と観光客が参加する植林事業の実施をお願いします。
4 花の回廊
ドイツ村へ向かう県道のテリハボク並木のドライブは気持ちの良いものです。宮古島では季節ごとに美しい花木が咲きます。美しい花木の並木を作りましょう。道の両側から枝を伸ばし、誇らしげに、また、可憐に咲く花の下をドライブや散策することで癒やされると思います。デイゴ、椿、センダン、ゴールデンシャワー、ジャカランダ、ブーゲンビレア、ホウオウボク、ソウシジュ、サルスベリ等がきれいだと思います。市道の中から選定して両側に林帯を確保し、市民および観光客が植林を行えば良い記念になります。
大野山林と花の回廊が季節ごとに満開になれば観光客は機内から美しい光景を見ることができます。そして実際に各地を散策し感動してもらえると思います。これら満開の花は蜜源となり新しい産業となると思います。美しい島をもっと美しくし、守っていきましょう。