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人生雑感
2016年11月2日(水)9:01

【人生雑感】言葉の賞味期限は、私たちの社会生活を活性する力があります

沖縄国際大学名誉教授 福里盛雄

1言葉の賞味期限とは

 私たちの食べ物には賞味期限があります。国語辞典によると賞味期限とは、その食べ物をおいしく食べることのできる鮮度の期限だと言うことができます。それと同じように、人の言葉にも、その言葉が本来の効果を発揮するためには、期限が早ければ早いほど、その効果は大きいのです。

 特に、「ありがとう」、「素晴らしいですね」、「本当によかったねェ」という言葉は鮮度が大切だと思います。こちらから何か差し上げたとき、早速、感謝の言葉が相手側から返ってくると、自分がしてあげたことが、相手にとって大変有用であったのかと自分もほっとします。いつまでも、相手から何の肯定的言葉がないと、余計なことをしたのかと、心の不安を感じます。その相手は、「今度、会う時にお礼を言うさ」と思っているに違いないと自分の心を納得させようと努力するのですが、どうも心の不安は、それでは消えそうもないのです。
 その意味でも言葉の賞味期限の尊重が大切であることが理解できます。ことばの賞味期限を無意味に過ごすことは、人間生活を円満に営むための弊害となります。

2私たちは言葉の賞味期限を大切にして、お互いを励まし合い、やる気を持たせる必要があります。

 賞味期限は、その鮮度が第一です。ですから、言葉も、その鮮度を大切にしなければなりません。そのために時間の経過を待たずできるだけ早く反応しなければなりません。
 反応が早いか遅いかは、言葉の賞味期限と密接に関わっています。私たちは、他人の行為に対しては早速反応したいと思っていながら、いろいろと理由をつけて、「このつぎ会う時にお礼の言葉でも申し上げよう」と後回しにします。
 反応することを後回しにしているうちに、返事のことを忘れてしまう場合もあります。ですから、反応しなければいけないと考える時は、早速、即時にしなければなりません。忙しい人こそ、時間を有効に使用するためにも即時にやるべきことを処理しなければなりません。
 また、忙しい人こそ多くのことを、優先順位をつけて、手早く即時に処理しています。物事に対する反応の早いか遅いかは、相手にやる気を出させるか、失望させるかと深く関わってきます。
 神の性質を与えられて、創造された人間は、言葉の賞味期限を大切にするべきです。神の言葉である聖書は、「時期にかなって語られることばは、銀の彫り物にはめられた金のリンゴのようだ」(旧約聖書箴言25・11)と、時期にかなった言葉の大切さを教えています。この言葉は、私たちに言葉の賞味期限の重要性についての大切な教訓のように考えられます。私たちは、日常生活で交わされる対話において、どんなささやかな言葉であっても、常に言葉の賞味期限の重要性に心しなければなりません。
 私たち人間は弱い存在ですから、相手の言葉の反応いかんによって、自分に対して自信を与えられたり、反対に自信喪失に突き落とされたりします。ですから、言葉の賞味期限を守る効果は大きいと考えなければなりません。
 私たちは、何かと忙しい毎日ですが、物事に優先順位をつけて、相手からの行為に対しては、できるかぎり早速良い反応を示すことが、お互いの人間としての成長に協力していることになるのではないでしょうか。食べ物の賞味期限も大事ですが、人間の言葉の賞味期限もそれに劣らず大事だと考えます。賞味期限に対する良い反応によって良い人間関係を築きたいものです。そして、毎日積極的に明るい楽しい社会生活をしたいものです。 

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