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行雲流水
2016年12月13日(火)9:01

【行雲流水】(戦争はつくられる)

 「平和を望んでいるはずの人類がなぜ何度も戦争を繰り返すのか」。テレビや書籍など、幅広いメディアで活躍している池上彰が、著書『なぜ、世界から戦争がなくならないのか?』で、この謎に真正面から迫っている

▼結論はズバリ、戦争によって大きな利益を得る会社が数多くあるからだ。そして、それに軍と政治家が癒着して「軍産複合体」を形成、ビックビジネスが展開されている

▼軍事費世界一(2014年、73兆円)のアメリカには軍需産業会社が14万社あり、兵器の売上げの上位5社は、それぞれ2兆円を超える。当然、従業員も多いから、戦闘が終わると不況になる。チェイニーは国防長官退任後、軍需産業に天下り、数年務めて24億円の退職金を受け取っている

▼アメリカの広告代理店ヒル・アンド・ノウルトン社は「アメリカの世論を湾岸戦争に誘導する」ことを受注、その成功報酬として14億円を得ている。その際、利用されたのが当時15歳の少女ナイラであった。彼女はクウェートにおけるイラク軍の残虐行為を米議会で涙ながらに証言、アメリカを戦争へと誘導したが、その証言は「やらせ」で、全部ウソであることが後で明らかになった

▼日本は、2014年から「防衛装備移転三原則」によって、武器輸出が可能な国になった。武器輸出を「防衛装備移転」としたのは実態をはぐらかすためだろう、と著者は書いている

▼戦争とその背景を直視するとき、沖縄の米軍新基地建設の不当性がいよいよ明確になるのではないか。

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