行雲流水
2016年12月24日(土)9:01
【行雲流水】(イミショウガツ)
イミショウガツ。冬至のことです。宮古島の風習で小さな正月ということだが神事にかかわることであった。陰の気に覆われていたこれまでが冬至を境に陽の気が復活して年が改まり幸運に向かうという意味で「一陽来復」とも言われる
▼我が家では冬至の日に肉や昆布、根菜などの具を入れたミスチュウシを炊いてウカマガンに供えた。年に幾度もない贅沢ともいえる飯を炊いてかまどの神様(ウカマガン)に供える、その意味を知ることはなかったが、年が改まることを祝う大切な行事であったことを思い起こす
▼年の変わり目にかまどの神様に供物を捧げることは天地開闢の神々を祀ることだし、家族や社会の安寧を願う意味があったのではないか。今の時代、イミショウガツはほとんど忘れ去られてしまった。神を祀り日々の食を調えるために火をたく神聖な場所であったかまど(ウカマ)は台所となりキッチンと言われるようになってかまどの神様の居場所が無くなった
▼人間が宇宙空間で何カ月も生活するような時代だ。人々の日常は豊かになり何の不自由もなく、生きる糧を心配することもない。神様への願いを忘れてしまって当たり前なのかもしれない。スーパーに行けばパック詰めのジューシーがある。それを食膳に並べて、イミショウガツはジューシーを食べる日になってしまった
▼神様に願い事をし、つつましく暮らしていたはずの人々の心は昭和の時代とともに過去のものとなってしまったのだろう
▼あと七日もすれば平成29年を迎える。年明け早々に選挙のようだが、選挙の結果がどうであれ、宮古島市民にとって幸運の年であることを願わずにおれない。